愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

歴史ノンフィクション(読書録)

宋姉妹: 中国を支配した華麗なる一族 伊藤 純,伊藤 真

日本史上もっとも有名な三姉妹といえば、浅井長政とお市の方の間に生まれた茶々・お初・お江だろう。小谷城が落城したのち救出されたお市の方と三姉妹は、本能寺の変後、お市が柴田勝家に嫁ぎ、三姉妹も共に居城である北ノ庄城で暮らす。秀吉との対立が深ま…

インディアスの破壊をめぐる賠償義務論: 十二の疑問に答える  ラス・カサス

コロンブスを別にすればこの時代の人で知っているのは、インカ帝国を征服したフランシスコ・ピサロ、悪名高いエルナン・コルテス、そしてラス・カサスしか知らない。全員が悪党だと思っていたが、ラス・カサスはドミニコ会宣教師で、本書は彼のスペイン人に…

カティンの森のヤニナ: 独ソ戦の闇に消えた女性飛行士 小林文乃

独ソ戦最大の謎「カティンの森事件」二万二千人のポーランド人将校が何者かによって虐殺された。そのなかにたったひとり、女性の犠牲者がいたことはあまり知られていない。彼女の名前はヤニナ・レヴァンドフスカ。優秀なパイロットであった彼女の頭蓋骨は調…

マリリン・モンローの最期を知る男 ミシェル・シュネデール

ハリウッドの美女といえば先ず、エリザベス・テーラー、ジンジャー・ロジャースを挙げたい。併し、誰となら付き合いたいかと問われれば、迷わずマリリン・モンローと答える。グラマー女優ならジェーン・マンスフィールドの方が遥かに上だが、モンローの人間…

ロシア革命史〈5〉 トロツキー

いかなる体制もそのすべての可能性を汲みつくさないかぎり、舞台を降りないというマルクスの命題に依拠し、メンシェビキは、資本主義がまだ決して終えていない後進ロシアでプロレタリアート独裁をめざす闘いの可能性というものを否定した。メンシェビキの考…

ロシア革命史〈4〉 トロツキー

コロニーロフの反乱の蹉跌は大衆のボリシェヴィキ化を大きく進行させた。そして9月25日、トロツキーがペトログラード・ソヴェト議長に選ばれる。ボリシェヴィキは最高の国権機関としてのソヴェト大会の招集とソヴェトへの権力の移行を強く主張する、十月革命…

ロシア革命史〈3〉トロツキー

兵士・労働者による反政府武装デモ「7月事件」の発生、それに対する反革命勢力の攻勢、ケーレンスキーの陰謀、そして逆にコロニーロフによる反乱が起こるが、その野望は蹉跌する。民衆は革命化の方向へ傾斜しはじめ、事態は十月革命に向けて確実に歩を進めて…

ロシア革命史〈2〉 トロツキー

これは本当に難しい。ろくに学歴のない私には高嶺の花のような本だ。前もってある程度の予備知識が必要とされる。2月革命が10月革命へと至る過程にはいかなる必然性があったのか。レーニンの帰国と「4月テーゼ」の発表。あくまで戦争継続の姿勢を崩さない臨…

ロシア革命史〈1〉トロツキー

ロシア革命なんていわれても知識などあまりない。 その昔、20代のころだったか『戦艦ポチョムキン』と『西部戦線異状なし』を観たがあまり覚えてないし、読書としては『ロマノフ家の最期』『大津事件』『ニコライ二世とアレキサンドラ皇后』『ラスプーチン暗…

囚人服のメロスたち 関東大震災と二十四時間の解放 坂本敏夫

江戸の昔から大火災などがあった場合は、牢獄に繋がれている囚人を三日間だったか、解き放つなんて聞いたことがあったが、関東大震災のおり横浜刑務所の典獄・椎名通蔵は、倒壊する建物に身を置く囚人たちの安全のため、世界初の完全開放処遇を決断した。条…

聞き書き ある憲兵の記録 朝日新聞山形支局

甲種合格をした山形の優秀な農村青年土屋は、一兵卒として満州に送られる。國を出る時は「出世して帰って来いよ」との声に背を押され、何が何でもその声援に応えたいという気持ちを胸に、同僚にライバル心を燃やし職務に励むが、遅い出世に焦り憲兵隊を志願…

戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇 堀川惠子

『無法松の一生』といえば村田英雄の歌でも有名だが、3度ほど映画化されている。初めは戦時中の昭和18年、阪妻こと阪東妻三郎が主演の作品で、二度目は昭和33年、三船敏郎主演の作品で、この二つは観たが、昭和38年の三國連太郎の映画は知らない。本来は昭和…

1493 世界を変えた大陸間の「交換」

タイトルはコロンブスが新大陸を発見した「1492」ではなく翌年の「1493」になっているが、この年コロンブスは2回目のアメリカ行きを決行し、タイトルにある「交換」というのが、その後、大々的にアメリカのみならずアジアにも普及し、良くも悪くも影響を与え…

ウクライナ戦争 小泉 悠

すっかり小泉さんのファンになってしまった私は、近著、「ウクライナ戦争」を新刊で買ってしまった。 もちろん、ウクライナの歴史など知らないので、ロシア人とウクライナ人はどう違うのか、そんなところから勉強しなければならない。 ロシアでは今回の戦争…

逃亡―「油山事件」戦犯告白録 

長崎に原爆が落とされた翌日、B29搭乗員だった米兵捕虜が斬首された。 見習士官として上官の命令に従った青年左田野は、戦後、絞首刑をおそれ逃亡をはかる。 潜伏、残された家族への過酷な取り調べ、そして―。 戦争の罪と罰を問う緊迫のノンフィクション。 …

ジャック白井と国際旅団 - スペイン内戦を戦った日本人 川成 洋

申し訳ないがスペイン人と聞くと、いざ戦争となればその恐ろしい残忍性が浮かんでしまう。コルテスのアステカ帝国、ピサロが目をつけたインカ帝国など、彼らが何をしたか読んでみるがいい。文明を滅ぼし抹殺し殺戮と虐殺を繰り返したスペイン人は、ナポレオ…

石橋湛山の65日 保阪正康

知らなかったが石橋湛山は明治17年生まれで、東條英機、山本五十六、石黒忠篤と同年齢だとか。 その石橋の理論は東條とは正反対なものになる。 「されば若し我国にして支那又はシベリアを我縄張りとしようとする野心を棄つるばらば、満州、台湾、朝鮮、樺太…

金閣寺の燃やし方 酒井順子

何年か前に京都にある臨済宗天龍寺派別格地の等持院に行ったことがある。 ここは足利尊氏の墓所として有名だが、私の目的は大正10年、マキノ省三が等持院塔頭跡地に牧野教育映画製作所と映画撮影所を設けた跡地を見ることにあり、全盛期の阪東妻三郎も通った…

江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA 篠田謙一

ジョヴァンニ・ヴァティスタ・シドッチという伴天連を知っているだろうか。 私はまったく知らなかったが、歴史的には非常に有名なイエズス会の宣教師らしい。 捕まれば死罪もあり得る野蛮な日本に、単身上陸するなんざ大した度胸というしかない。 ローマを出…

南京「百人斬り競争」虚構の証明―野田毅獄中記と裁判記録全文公開  野田 毅

以前、大戦中に派遣されたビルマでの野田毅少尉日記を読んでレビューを書いたが、今回はB・C級戦犯として米軍に逮捕、その後中国に引き渡され、北京で国民党政府の裁判を受ける身になった裁判記録と獄中日記になる。 確かB・C級戦犯では1千名ほどが死刑にな…

彰義隊遺聞  森 まゆみ

女流ノンフィクション作家として、昔は角田房子、澤地 久枝、瀬戸内晴美。 現在はノンフィクション作家、堀田恵子、梯久美子、そして森まゆみ。 この6人は絶対な存在で讃辞を送りたい。 資料を虱潰しにあたる著者の凄まじい執念は、私のように浅学の徒にはや…

ベンガルの憂愁―岡倉天心とインド女流詩人  大原富枝

余談だが岡倉天心は横浜生まれで、福井藩の下級武士らしい。 してみると、私の先祖とは同藩ということになるのか。 ともあれ、世上言われるところの桁はずれな天心の生涯というものを知らない。 評伝好きな私だが、彼のものは読んだことがない。 少し勉強す…

オリンピックに奪われた命 円谷幸吉30年目の新証言

私がこれまで尤も感動した遺書と言えば、沖縄方面根拠地隊司令官だった太田実中将の訣別電報と、川端康成も絶賛していた円谷幸吉の遺書です。 本書はかなり昔に読んだものですが、思い立って書棚を探してみたものの見つかりません。 或いは処分したのかも知…

太平天国 皇帝なき中国の挫折 菊池 秀明

そうか、「太平天国の乱」とは日本でいえば幕末に当たるわけだ。 人類史上最悪の内戦で、14年に及ぶ闘いは江蘇省だけでも死者2000万人というから凄い。 中国人は残忍だと思っていたが清朝軍も太平天国軍もまるで虫けらのように殺戮を繰り返す。 太平天国とい…

ある奴隷少女に起こった出来事 ハリエット・アン ジェイコブズ

本書は、以前の女主人から読み書きを習った奴隷少女が、自らの苛酷な体験を綴った稀有な物語で、世界的ベストセラーになった本らしいが、私は最近まで知らなかった。 これまで奴隷制度に関してそれなりに知っていたが、奴隷本人が語っているために、その体験…

ナントの虐殺 ジョルジュ・ルノートル

過去、フランス革命に関する本は2,3冊よんだだろうか。 然し、これはあくまでも革命の点の部分で、線で繋ぐものは何も読んでいないため、革命勃発からナポレオン登場に至る経緯は全く知らない。 然し乍ら佐藤賢一氏が『小説フランス革命』18巻を書いている…

ドナウよ、静かに流れよ  大崎善生

【ウィーン14日共同】ウィーン市警察当局者は14日、日本人の男性指揮者(33)と友人の芸術専攻の女子大生(19)の水死体がウィーン近郊のドナウ川で見つかったことを明らかにした。同市三区警察署のサムエリ法務部長らによると、市内のドナウ運河で指揮者が…

天使はブルースを歌う――横浜アウトサイド・ストーリー 山崎洋子

私にとって団塊の世代とはマルキストかヒッピーか、大別すればいずれか二つに属してしまう種族になってしまう。中学生の頃などは、何故、あの世代の人たちは機動隊とぶつかり合っているのか理解できなかった。革マル派、連合赤軍といっても、主義主張を理解…

少女たちの魔女狩り―マサチューセッツの冤罪事件 マリオン・L・スターキー

本題を前に少し調べてみたがアメリカ社会に於けるプロテスタントの割合は、1955年に70パーセントに達し、それが戦後はもっとも高い数字だったとある。では、戦前はどうだったのか。いや、新大陸発見後の経過を辿ると、そもそも先に渡ったのはカトリックだっ…

お盛んすぎる 江戸の男と女  永井義男

今の時代、まだ秘宝館なるものが全国にあるのかどうか、昔はテレビCMなどでも放映していたものだが、最近は専ら聞かなくなった。 確か昭和48年だったと思うが富士の五合目に行った帰り、富士五湖を見て、何処へやらの秘宝館に入った記憶がある。 初めてのこ…