愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

政治・経済・風俗・社会(読書録)

人声天語 坪内 祐三

天声人語ではなく人声天語天語である。人声天語とは、あくまでも個人的な声という意味らしいが、文筆家として読書家としてかなり豊富な知識と自信がおありだ。坪内氏は古本界では有名な人だったが先年、お亡くなりになった。本書は20年ほど前の時事を主に扱…

春画の色恋 江戸のむつごと「四十八手」の世界 白倉 敬彦 

能楽が、能と狂言に分かれているのも尤もであると同時に、その二つが一つになって初めて能楽であることも象徴的で、そして、下層表現の二大要素といえば、いうまでもなく笑いと性で、春画がその二つの要素を兼ね備えているわけだ。 そこで多くの春画の達人と…

黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い 畠山理仁

『黙殺』なんて書いてあるから、一見、鈴木貫太郎内閣の「黙殺」かと思ったが全く違うものだった。 所謂、選挙戦における泡沫候補のことで、著者は約20年に渡って当選するはずのない彼らが供託金300万円も払って何故出馬するのか、その疑問を追求すべく密着…

「リベラル」がうさんくさいのには理由がある 橘玲(たちばなあきら)

著者は最初のお断りとして、私の指示する政治思想はリベラリズム(自由主義)です。 故郷に愛着と誇りを持つという意味での愛郷心はありますが、国(ネイション)を自分のアイデンティティと重ねる愛国主義(ナショナリズム)はまったく肌に合わず、国家(ス…

スカトロジア―糞尿譚 山田 稔

以前、野坂昭如がテレビ番組でこんなことを言っていた。 友人が駅に向かう途中、逆に駅から出て来た自分好みの美人を見かけ、その美人の後を自宅まで着いて行ったらしい。 そして、玄関で呼び鈴を鳴らし、訪れた経緯を語り、こう言った。 「貴女のおしっこを…

純愛心中 「情死」はなぜ人を魅了するのか  堀江珠喜

江戸の昔には、純愛という言葉はなかったと思うが、心中には秘めた恋仲の果てというイメージがあって市井の人々を、どこか魅了してきたのだろうか。 ままならぬ恋愛と身分制社会、苦界の世界に身を沈める遊女に同情してか、近松門左衛門の出現によって江戸で…

江戸の下半身事情 永井義男

サザンに『BOHBO No.5』という曲があるが、これはキューバのペレス・プラードが作った『マンボNo5』を真似たものだろう。 ここで言う「BOHBO」とは、即ち「ぼぼ」のことを意味していると思うが、具体的に言うならば女性のアレの部分を指している。 方言と思…

老後破産: 長寿という悪夢 NHKスペシャル取材班

昔、青島幸男が『人間万事塞翁が丙午』という小説で直木賞を受賞したことがあったが、当時はこの難しいタイトルの意味が分からなかった。 語源は人間万事塞翁が馬で人生における幸不幸は予測しがたいという意味だが、『老後破産』とはまさにそのことを意味す…

沸騰!図書館 樋渡啓祐

以前、ニュース番組の特集でこの図書館のことを紹介していた。 夢のような図書館だと友人に絶賛しらぐらい素晴らしい。 http://www.epochal.city.takeo.lg.jp/winj/opac/top.do しかし所在地が武雄市? 何処に在るのってなもんです。 佐賀県らしいが武雄市な…

本当は怖い昭和30年代 キン マサタカ

写真家、土門拳などの作品を見ていると昭和30年代は如何にも長閑で古き良き時代を切り取ったノスタルジックに満ちたとてもいい時代のように思える。 高度成長期の日本はまだまだ貧しく伸び盛りで、町には子供が溢れ、人情があり、もう再び帰ってくることの…

世界の[下半身]経済のカラクリ 門倉貴史

国際社会は現在、性産業に対して二つの大きな問題を抱えている。 ひとつはポルノは解禁した方が良いのかという問題。 北欧のように子供の頃から性教育をすることによって望まない妊娠や性に対する精神的な免疫力を早い時期から養う。 二つ目は、セックス・ワ…

日本会議 戦前回帰への情念 山崎雅弘

最後の岡っ引きと言われ、「吉展ちゃん事件」の犯人、小原保を落した警察官、平塚八兵衛は、小原処刑の報を聞いて、しばらく後、その小原保の墓参に行ったと記憶するが、日本人的な思想では、どんな悪人も死ねば、みな仏になるという概念があると何かで読ん…