愛に恋

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ムーンライト・セレナーデ

「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。「お染風」

『半七捕り物長』の作者、岡本綺堂が若い頃の東京は、まだ江戸の情緒が残っていた。インフルエンザが猛威を振るった明治23年から翌年にかけて、江戸時代に流行った「お染風」の呼び方が復活する。歌舞伎や浄瑠璃の演目「お染久松」で、お染が久松に惚れる場…

「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。 映画はアリスから始まった

大きなキャベツから赤ちゃんが生まれる「キャベツ畑の妖精」郵便局で切手を何十枚もなめた女性が、キスした相手と口がくっていてしまう「べとつく女」120年ほど前に撮られたこれらの短編映画は、いま見ても面白いらしい。発想が斬新でユーモアと風刺が利いて…

「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。 田村俊子の『絵島生島』

「こういう饐(すえ)臭いどろどろの情火をエロティックな筆で描きあげたこの一篇は、全体に無気力な退廃な気がただよっている。メタンガスがぷくぷく浮く真黒な堀川の水に、漂い流されていく古下駄のようなみじめな女の生活が、突っ放して書かれているのに…

「ムーンライト・セレナーデ」 反対なし。自由なし。選択肢なし

【ベルリン時事】「ウラジーミル・プーチン(ロシア大統領)の地滑り的な勝利を祝福したい」。 欧州連合(EU)のミシェル大統領は15日、同日投票が始まったロシア大統領選について、X(旧ツイッター)に投稿し、早くも「祝意」を表明した。開票は17日だが、…

「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。 亀戸事件

「ならし野に送り保護する事なれり」という記事は、気になる。千葉県内で軍隊がおこなった朝鮮人虐殺のほとんどが習志野聯隊によるもので、平沢計七ら社会主義者を殺害したのも同聯隊であったからである。9月2日の真夜中から5日にかけて、習志野周辺で朝鮮人…

「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。『ウルビーノのヴィーナス』

マネはティッツァーノの『ウルビーノのヴィーナス』からあえてヴィーナスの象徴を取り除き、パリの娼婦を描き、それが観衆の逆鱗に触れた。なぜマネはこのような絵を描いたのか。それは、パリの闇の姿を描き出そうとしたからだと考えられている。当時のパリ…

「ムーンライト・セレナーデ」 御法度の裏街道を歩く渡世なんだ

「俺たちやくざは、御法度の裏街道を歩く渡世なんだ。いわば天下の嫌われもんだ。それだけにな、何事も渡世の筋道を通さなくちゃいけないんだ」と座頭市も言っている。しかしどうだ、座頭市さえ筋道を通して裏街道を歩いているのに、表街道を堂々と歩く身の…

「ムーンライト・セレナーデ」 十二代目片岡仁左衛門一家5人が殺害事件

昭和21年3月16日、渋谷区千駄ヶ谷で歌舞伎役者・十二代目片岡仁左衛門一家5人が殺害されているのが見つかる。殺されたのは、片岡仁左衛門(当時65歳)、その妻で元日活女優の小町とし子(当時26歳)、四男(当時2歳)、女中2人(当時12歳と当時69歳)。5人と…

「ムーンライト・セレナーデ」 宗坊はいますか、宗坊はいますか

大杉栄の妹あやめは、薄倖の人であった。アメリカのオレゴン州ポートランドで農業を営む橘宗三郎と結婚して宗一を生んだが、胸を病み、そのこともあってか夫婦仲が冷たくなったため、養生かたがた宗一と共に帰国し、静岡の姉婿、柴田勝蔵の世話で静岡病院に…

「ムーンライト・セレナーデ」 腰から下は敢えて保証の限りではありません

笹川良一は艶福家としても知られているが、巣鴨拘置所で連合国軍最高司令官総司令部から、「男装の麗人」として知られるスパイ、川島芳子との関係を尋問されて「ぼくは腰から上の人格者で、腰から下は敢えて保証の限りではありません」と言い放ったこともあ…

「ムーンライト・セレナーデ」 「わたしが一番きれいだったとき」茨木のり子。

「わたしが一番きれいだったとき」茨木のり子。 わたしが一番きれいだったとき、街々はがらがら崩れていって、とんでもないところから、青空なんかが見えたりした。わたしが一番きれいだったとき、まわりの人達がたくさん死んだ、工場で、海で、名もない島で…

「ムーンライト・セレナーデ」 チューブ入りの絵具

チューブ入りの絵の具が発明されたのは1840年代初頭のことで、19世紀初めはブタの膀胱を絵具入れとして使っていた。残った絵具はまたそこに入れて保存する。これでは手間がかかるし、保存状態が悪いと絵具はすぐに固まる。そのため画家の創作活動は屋内の工…

「ムーンライト・セレナーデ」 歪んだ真珠

Audrey Benjaminsen 古来、キリスト教の教会では、静的で高貴な宗教画が好まれていた。ルネサンス、次いでマニエリスムとそれは継承されてきたが、17世紀に入ると、その流れが一変する。従来よりも派手で劇的な作品が好まれるようになった。そのような芸術様…

「ムーンライト・セレナーデ」 ジャンルによって序列

フランス美術界では、19世紀中ごろまで絵画のジャンルによって序列が存在した。画家による作品の価値とは別に、歴史画、宗教画、神話画、風景画、肖像画、風俗画、静物画、といったジャンルごとの格付けがあった。最も格上は歴史画、宗教画、神話画で、次は…

「ムーンライト・セレナーデ」 なぜ、ルネサンス初期の肖像画はみな横を向いているのか?

なぜ、ルネサンス初期の肖像画はみな横を向いているのか?古代ローマでは正面向きや斜め向きの肖像画が数多く描かれていた。しかし、そのほとんどが中世の混乱のなかで破壊されたり失われてしまい、ルネサンス時代には手本となるような肖像画がまったく残さ…

「ムーンライト・セレナーデ」 メメント・モリ

最近、何のCMかアニメだと思うが、優しいテーマソングが流れる中「メメント・モリ」というフレーズをよく聞く。1346年に初めてヨーロッパを襲ったペストは、ヨーロッパ全人口の三分の一を死に至らしめた。いつ死ぬか分からない状況にさらされた人々にはメメ…

「ムーンライト・セレナーデ」 世の儚さを思う

今日、仲宗根美樹さんが亡くなったが、本当に毎年毎年、先輩方が多く亡くなって昭和はどんどん遠くなっていく。日本映画で母を演じ2012年7月9日に95歳の人生を閉じた山田五十鈴は、日本が誇る溝口、成瀬、小津、黒沢という四巨匠の名作に出演し、女の業の深…

「ムーンライト・セレナーデ」 阿漕平治伝説

三重県の県都は津市である。JR紀勢本線の津駅から、南に行った二つ目の駅が阿漕(あこぎ)駅だ。ここの海は、伊勢神宮に供えるために、かつては禁漁区だった。阿漕という名の漁師が密漁したために海に沈められ、地獄に落ちても責め苦を負う。その来歴を描い…

「ムーンライト・セレナーデ」 阿部正弘の時代

今の時代、50歳で総理大臣になればかなり若手だと言われるだろう。併し、江戸の昔は違った。数えで15歳になれば成人扱いだ。頼りにならない将軍家定を補佐して四年の間、老中阿部正弘は心身を酷使した。ペリーの二度の来航の時の対応、ハリスの下田総領事館…

「ムーンライト・セレナーデ」 『悲しめる友よ』永瀬清子

悲しめる友よ、女性は男性よりさきに死んではいけません。男性よりも一日でもあとに残って、挫折する彼を見送り、又それを被わなければならない。男性が一人あとに残ったならば誰が十字架からおろし埋葬するのであろうか。聖書にあるとおり女性はその時必要…

「ムーンライト・セレナーデ」 清談ををしたくおもいます

清談ををしたくおもいます。物価、税金の話、おことわり。人の悪口、噂もいや。我が子の報告、逐一もごかんべん。芸術づいた気障なものも、やだし、うけうり清談、ふるふるお助け!。日常の暮らしからは、すっぱり切れて、ふわり漂うはなし、生きてることの…

「ムーンライト・セレナーデ」 詩人、茨木のり子は書く

詩人、茨木のり子は書く。「男性は何歳になっても、わんぱく小僧時代と変わらないで、やりたい放題、ちらかしっぱなし、どうともなれ式に息絶えます。そのぶざまさを人々の目から隠し、きれいなジ・エンドとして形を整えてあげ、水がいっぱいでもちあげきれ…

「ムーンライト・セレナーデ」 維新以来77年の努力が水泡に帰した終戦だった。

若い人にとってはピンとこないと思うが、私が生まれる前のそう遠くない過去、日本は主権国家ではなかった。つまり独立国家ではなく、天皇及び日本国政府はマッカーサー元帥に従属しており、一切の命令に服することをポツダム宣言で約束していた。国家主権は…

「ムーンライト・セレナーデ」 「核要塞」

昭和20年、海軍大将鈴木貫太郎内閣の外務大臣だった東郷茂徳は、2月上旬に米英ソがクリミアでヤルタ会談を行ったのも知らず、ソ連に和平案を頼もうとしていた.。近衛文麿元首相を特使として派遣するように努力していたが、なんとも迂闊な話だった。中立条約…

「ムーンライト・セレナーデ」 毛虫を嫌い、蝶を好むは、人情の常ならんも

私は子供の頃から虫捕りに励んだせいか、特段、昆虫を怖がることはないし、あしなが蜂とて傍に来ても怖がるものではない。中学の頃などにはシマヘビなど見つけつとよく捕まえたものだった。ある時、冬眠中のマムシを捕まえたこともあったが、併し、私とて苦…

「ムーンライト・セレナーデ」 文学は職業ではない。呪いだ

「文学は職業ではない。呪いだ」トニオ・グレーゲルの言葉を口ぐせにしていた火野葦平の声が、体内におし入る焔の底から聞こえてくる。人づきあいがよく、豪放で磊落で、精力の権化のような印象を他人に与えていた火野葦平の仮面の下には、呪いにとりつかれ…

「ムーンライト・セレナーデ」 ロシア全土でナワリヌイ氏の追悼行為

ナワリヌイ氏が刑務所内で死亡したことにより、ロシア全土でナワリヌイ氏の追悼行為の輪が広がっている。この献花が、プーチン政権をいらだたせている。併し、現在の専制国家ロシア、中国、北朝鮮などで革命やクーデターが起きるとは思えない。それほど堅固…

「ムーンライト・セレナーデ」 3000日連続読書

今日、神戸に行って来た。三宮駅前の広い通りは何やら工事中で、阪急百貨店に用事のあった私はどこから交差点を渡ったものか分からず仕舞いで、歩道橋に上ってみたり下りたりで右往左往。やっとこ道順が分かったので歩道を歩いていると、日曜とあって大変な…

「ムーンライト・セレナーデ」 将軍慶喜

幕末、兵庫開港を転機とする内外政策の転換は将軍慶喜の指導のもとで、独創的な日本の近代化の道を歩むかに見えたのだが、幕府および水戸藩の内部には、大局を理解せず、慶喜の路線に反対する勢力がなお根強かった。慶喜は生涯この手の人間から足を引っ張ら…

「ムーンライト・セレナーデ」 繁文縟礼

繁文縟礼、これは(はんぶんじょくれい)と読む。意味は、規則が細かすぎ、煩雑な手続きが多く、非常に非能率的な状況を指す。一丘一壑、これは(いっきゅういちがく)と読む。意味は 俗世から離れ、自然の中に身をおき、風流をたのしむこと。南蛮渡来の薔薇…