愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

獅子文六作品(読書録)

バナナ 獅子文六

筑摩書房復刊の獅子文六作品をかなり読んできたが、当初はお手軽な娯楽小説みたいなものと、軽く受け流しを決め込んでいたのだがさすがに明治人、語彙力があり思考にしても表現力にうま味がある。 明治大学の斎藤孝先生が「語彙力こそ教養である」と言う通り…

コーヒーと恋愛 獅子文六

獅子文六には真珠湾攻撃で殉職した九軍神の一人、横山少佐をモデルにした『海軍』という小説があるが、50年ぶりに『コーヒーと恋愛』という本が復刊。 帯には。 ・古書店で高値で取引きされる名作 ・こんなに面白い小説が何十年も読めなかったなんて信じられ…

てんやわんや 獅子文六

本書の出版は昭和24年。 戦時中に疎開した伊予を題材に書かれている。 昔、流行語にもなったタイトルだが私はまだ生まれていない。 映画化は翌25年で淡路千景、佐野周二、志村喬が出演しているが見てない。 筑摩書房で復刊が続いている文六作品だが、くすく…

七時間半 獅子文六

獅子文六の作、ちくま文庫の第4弾がこの作品。 『七時間半』とは昭和35年当時、東京ー大阪間を七時間半で結ぶ豪華特急「ちどり」のことで物語は車内で起こる従業員や客とのラブコメディの顛末を道中七時間半をかけて作者が語っているような展開だが、解説に…

悦ちゃん 獅子文六

筑摩文庫、獅子文六シリーズ『悦ちゃん』。 以前にも書いたと思うがペンネームの文六とは文豪(文五)の一つ上という意味だが、私個人、あまり獅子文六を文豪と思ったことはない。 どちらかと言うと大衆小説作家で物語としてはよく纏まって読み易く解りやす…

獅子文六の二つの昭和 牧村健一郎

獅子文六とは、あまりにも世代が違い過ぎるため、その作品を今日まで読む機会がなかったというのではなく出版業界が文六作品から手を引いたために読む機会を失ったといったほうが実情に合っている。 何故、読まれなくなったのか、そのあたりのことは私には分…

自由学校 獅子文六

今回の文六作品は昭和25年5月から朝日新聞に連載されたもので、時代を反映して敗戦、焼け跡、講和条約などの文言が頻繁に出てくるが、さすがにリアルタイムで書いているだけあって説得力がある。 終わりに作者自身も書いているが獅子文六の代表作とは何なの…

信子 獅子文六

獅子文六ブームはいつまで続くのだろうか。 もっか、ちくま文庫で10冊、それに追従して朝日文庫が2冊刊行したが、その2冊目がこの『信子』という本になる。 かなり古いもので戦前の昭和13年10月から15年2月かけて雑誌『主婦之友』に発表した長編小説とあるが…

青春怪談 獅子文六

獅子文六、第7弾! その名も『青春怪談』、相変わらずのドタバタコメディで、あまりパッとしないタイトルだが、まずは目出度い。 これでちくま文庫の復刻版は阿川弘之2冊、源氏鶏太2冊、そして獅子文六が7冊。 どうもこの3人の戦後小説は似たり寄ったりのラ…

おばあさん 獅子文六

二番煎じ、便乗商法と言っては少し言い過ぎだが、まさかちくま文庫で好評を得ていた獅子文六作品を朝日文庫でも復刊するとは思ってもみなかった。 二刊同時発売だったので、差し当たりページ数の長い『おばあさん』の方から読むことにしたのだが、これが面白…

胡椒息子 獅子文六

ちくま文庫、獅子文六の第8弾『胡椒息子』なる本が出たので、まさに 「待ちかねぞ文六」ってな具合で早速読んでみた。 ふん・・・! いつもながら思うのは、文六先生の思惑は将来、映画化されるのを想定して書いているような気がしないでもない。 失礼ながら…