エッセイ(読書録)
著者は名うての下ネタ好きらしい。 故にこういう話(実話)は女性が書いた方が面白くていい。 バッコ、タバッコ、ヴェーネレ、これがイタリア版の飲み、打つ、買うらしい。 ロンドンの研究機関が世界29か国でアンケート調査を行った結果、性生活では断トツ、…
俳優で名エッセイストといえば沢村貞子と高峰秀子しか思い浮かばない。 確か日本初のカラー映画は高峰秀子主演の「カルメン故郷に帰る」だったと思うが、撮影後の昭和27年、高峰は一人でパリに飛び、半年間も本名で生活して書いた初のエッセイが本作となる。…
ご存知かと思うが、色川武大には今一つ、『麻雀放浪記』でヒットした阿佐田哲也というペンネームがある。 朝だ徹夜という意味で、彼は博徒として鳴らし、また、映画、芸能、ジャズと幅広いジャンルに精通していた。 そんな彼は食道楽の作家がよく書く、喰い…
殿山さん、貴男は名脇役としていろんな映画に出てましたよね。 その演技力が下手などと思ったことは一度もありません。 頭が禿げて不細工な顔でしたが、これぞ脇役としての存在感がありました。 酒好き、女好き、そしてジャズ。 以前、貴方の書いたジャズの…
殿山さん、貴男は名脇役としていろんな映画に出てましたよね。 その演技力が下手などと思ったことは一度もありません。 頭が禿げて不細工な顔でしたが、これぞ脇役としての存在感がありました。 酒好き、女好き、そしてジャズ。 以前、貴方の書いたジャズの…
昔から友人との間で、よく森繫さんのことは口の端に上ることが多かった。 多くの友人に先立たれ、さぞ寂しい想いをしておられるだろうというのが、会話の接続に出ることがしばしばで、その森繫さんの、「あの日あの夜」、つまりは昔のことを思い出すまま書か…
『思い出トランプ』を読んだのは、もう随分昔のことだ。 『寺内貫太郎一家』を見ていたのも、あまりにも古い話になる。 そんな才能ある向田邦子の搭乗していた飛行機が運悪く墜落したと聞き、誰もが耳を疑っただろう。 その彼女の炭化した遺体写真を見た時に…
人間は多面的な色合いを持った生き物。 普段は一面、二面を見せても三面となると容易に解かるものではない ましてや第四面まである場合は、肉体関係を持ち、さらに深い契りでもなければ、金塊までたどり着けない。 男女関係を掘り下げなければ、おそらく分か…
ピエール・ロチの小説というのは、だいたいが、その土地で恋愛関係になった女性名からタイトルを取っているらしい。 例えば『アジアデ』はトルコの恋人。 『ララフ』はタヒチ。 『お菊さん』は日本。 さらに『アフリカの騎兵』『氷島の漁夫』と続くが、著者…
いつだったか、かなり前のことになるが、檀ふみが高倉健と初めて会った時のことを語っていた。 仕事で共演することになった彼女の控室に、突然、高倉健が現れ。 「初めまして、高倉です」 と、入って来たのを見て、檀ふみは思った。 日本人にもこんな人がい…
以前、みうらじゅんは「ロックの哲学をお持ちだそうで」という問いに「修行と絶倫」と答え、続けて「絶倫の意味なんですよね、よく分かりました」と言い放っていた。 更に「僕、若い頃から絶倫になれる音楽をかなり聴いて来ました、本当に辛かったです」とぬ…
滝田ゆうと田中小実昌の本は古本屋で見つけ次第、何でも買ってやろうと思っているのだが、この本はどうも読み辛かった。今は無き旺文社文庫1982年1月が初版だが、調べてみても読んだ人が見つからないほど、つまらないのか埋もれてしまったのか。申し訳ないが…
私の場合、もし母親を選べるなら佐藤愛子答えるかも知れない。 こんな母親がいたら面白そうだ。 ましてや母方の祖父が佐藤紅緑となればなおさら愉快ではないか。 年齢的に父と釣り合いもとれるし申し分ないのだが、親子となれば何かしら諍いもありそうな性格…
どうだろうか、NHKの女子アナというのは、何れも品行方正で異性関係に於いても、先ず間違いのあろうはずもなく、看板アナに関しては猶更、そのような粗探しをしたところで無用、人品骨柄、非の打ちどころのない人物なのか、然し、いくらNHK女子アナといって…
高峰秀子が出演した昭和14年の『われ等が教官』という映画の中で、琴を弾く場面があるらしい。 それがため稽古として連れて行かれたのが誰あろう検校、宮城道雄であったという。 少し長いが彼女の文章を引用させてもらって、そのあたりを紹介したい。 ある日…
人生最期に聴く曲は、どんな歌を選ぶか。 久世光彦が14年間にわたって雑誌「諸君!」に連載した123篇のエッセイから52篇を選んだ“決定版”。 久世さんは昭和10年生まれなので戦中戦後にヒットした曲、または隠れた名曲など採り上げているが、私の知らない曲も…
ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんについては以前にも少し書いたが、残念なことに89歳で2016年12月30日に逝された。 父親は2・26事件で殺害された陸軍教育総監渡邉錠太郎大将で、事件当時大将は62歳。 9歳で末っ子の和子さんは、大将と床を並べて就…
子供の頃に親と死別するということは、死に行く親にとっても残されし子にとっても断腸の思いだろう。 子供は幾つになっても親への思慕の念断ち難く、最後の対面など忘れることが出来ない。 長い闘病生活の末のことなら覚悟も出来ていようが、突然の訃報では…
ペットロスという言葉を知ったのは比較的最近のことで、あれは何と言う名だったか、昔、付き合っていた彼女が飼っていた犬だが、「もし死んだら私、どうしようどうしよう」と何度となく繰り返し聞いたものだ。 それ程までに情が移ると、或いはペットの死後…
本書の単行本を数か月前に古書店で見つけ、面白そうだが文庫は出ていないのかとAmazonで検索するに、やはり昭和58年に文庫化されていたので、その文庫と巡り合うまでは暫くお預けと思っていたが、意外と早く古書市で対面となり、何やら難しそうだが、まあ、…
近年、ノーベル文学賞候補として井上靖と阿部公房が候補に挙がっていたことが、ニュースで採り上げられていたが、以前から思っていた疑問、井上靖さんが受賞しなかった理由が分かり少し溜飲が下がる思いだった。 ノーベル文学賞は存命が条件。 しかし、阿部…
「敵の虚を突いて塁を盗むとは、正々堂々の戦いにあらず!」 佐藤紅緑という人は、野球観戦で盗塁するのを見ると、すぐこうやって怒鳴ったらしい。 また、ある時は隣の男性の貧乏ゆすりに腹を立て殴ったとか。 新聞記者時代には宿直室で師の陸羯南(くがかつ…
安々となまこの如き子を生めり 「安々と」とは、妻が一度流産した経験があったので、今回は安産だったと言う意味だろう。 名は筆子と漱石が名付けた。 妻の鏡子が非常な悪筆で、少しでも字の上手な子になるようにとの願いから命名、その第一子、筆子の娘が著…
自称、神保町系ライターと言うぐらいの古本道の達人、岡崎武志氏に弟子入りした女流作家、角田光代の古本道入門書とでも言ったらいいのか。 師匠の支持の下、神保町、早稲田、荻窪、鎌倉、そしてウルムチ、ウィーン、ブタペスト、ベルリンと古本を求め、その…
本作は大手出版社113人の投票によって『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞』に輝いたとあるが、私としては、どうも納得がいかず異議というか疑義というか腑に落ちない。 著者を最近、あまり見かけないと思たら、こんな本を出版していると知って買って…
殆どタイトルに誤魔化されたといっていい。 一見、読み易そうで簡単な文句。 「子供より古書が大事だと思いたい」 著者の略歴を見ると東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。 専門は19世紀フランスの社会と小説。 博士課程どころか白紙課程終了の私には…
数年前のこと、柄にもなく平安神宮の夜桜見物に出かけたことがある。 途中、神宮の東側の通りを歩いていたら思いがけなく古本屋を見つけたはいいが、なんと木造一軒家がまるまる本屋でビックリした。 入口からしてこのありさまで、二階建ての一軒家を店主が…
高円寺に住む、古本が大好きで貧乏な物書きの話しで目標は! 「10年この町に住んで、そのとき文章を書き続けていたら、俺の勝ち」 というもの。 高円寺の一画で安アパートを7回も転居しながら四苦八苦。 時に電話、ガス、電気、水道も止まり立ち退き2回。 何…
故臼井吉見さんの作品には『安曇野』という大作があるが結局読んでない。 唯一、この人の作品で読んだのは川端康成の死の原因を追究した『事故のてんまつ』という本だけだが既に絶版になっている。 『自分をつくる』というタイトルから分かるよに、私には似…
今日は記事を書くにあたり記憶に留める意味合いもあって昨日の大地震の事を少し書いておきたい。 ブログの性質上あまり個人的なことは書かない主義なのだが今回は例外ということで。 実は毎日記事を更新してはいるが、ここ半月程前からヘルニアが悪化して歩…