愛に恋

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古本生活読本  岡崎武志

太平洋戦争において文化財の多い京都への空襲を避けるよう米軍に進言したのは、ロシアの日本学者、東洋学者であるセルゲイ・エリセーエフという人物だが、そのエリセーエフが神保町が焼ければ世界的損失になるとも言ってくれたお陰で、神保町は戦災を免れた。記憶は確かではないが大阪の日本橋にも古書街があったが、こちらは空襲で全焼したと何かで読んだことがある。どの国でも言えることだが天災や戦災などで文化財などが焼失や破壊されるのは、断固阻止されなければならない。

併し、その甲斐あって岡崎武志氏を始め、各界の著名人が利用する神保町となり、その末端に私もいるのだ。岡崎氏は古本趣味で実に雑学博識の大家で唯一歴史が苦手らしい。知人の女性に同じく古本趣味の人がいるが、ひとりはエッセイ好き、今一人は武者小路実篤のファン。そこは私とは少し違が、ひとりの女性は古書店古書市に通う頻度がべら棒に多く、また買う量も半端ではない。

私などはまだまだ足軽風情、この世界にどっぷりハマることは本当に良いのかどうか判然としないが、飾り物と違い買ったら読まなければ意味を為さないわけで、置く場所を含めキリも際限もない泥沼に陥ってしまう。

それが喜びなのか苦痛なのか個人の裁量に委ねるしかない。