愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

明治文学(読書録)

五重塔 幸田 露伴

その昔、まだ10代だった私は志賀、川端、太宰は読めても谷崎、三島、荷風などは小難しそうで読む気すらならなかった。 ましてや露伴などは夢の夢。 露伴といえば「五重塔」だが、ワゴンセールで見つけた100円の価値。 文豪の著作が100円とは安いが作品…

留女 志賀直哉

本書の発行は大正二年の元旦。 10篇からなる短編集で、まだまだ「小説の神様」には程遠いい作品ばかり。 殆どが明治の後半に書かれたものだが、志賀直哉に限らず、この時期の小説は短編が多い。 漱石が如何に突出していたかが良く分る。 どれもこれも未完成…

湯島詣 他一篇 泉 鏡花

鏡花ファンという人が存在するのは知っているが、私にはどうも肌合いが良くない。 というか解らない。 未だ師匠の尾崎紅葉の方が分かりやすいし、漱石や鴎外、または上司小剣、広津柳浪なら読みこなせるのだが。 買う時に迷ったのだが、復刊なのでつい手を出…

地獄の花 永井荷風

岩波文庫には定期的に「リクエスト復刊」というシリーズがあり、これが実に楽しみだが、現代人にはやや問題もある。 まず、文字が小さく旧漢字で埋め尽くされ何とも読み辛い。 明治時代の文学ともなれば尚更のこと。 まあしかし、そこが岩波の岩波たる所以、…

五足の靴 与謝野鉄幹 北原白秋 平野萬里 木下杢太郎 吉井勇

『五足の靴』とは、明治40年7月から8月にかけて雑誌『明星』に集う若き詩人の北原白秋、平野萬里、木下杢太郎、吉井勇の4人を与謝野鉄幹が伴って、九州一円を旅したときの紀行文で、当時、鉄幹は数えで35歳だが、あとの4人は22~23歳の学生だった。 しかし紀…