愛に恋

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五重塔 幸田 露伴

その昔、まだ10代だった私は志賀、川端、太宰は読めても谷崎、三島、荷風などは小難しそうで読む気すらならなかった。

ましてや露伴などは夢の夢。

露伴といえば「五重塔」だが、ワゴンセールで見つけた100円の価値。

文豪の著作が100円とは安いが作品としたは1万の価値はあるだろう。

然し、如何せん明治二十二年から四年にかけて書かれた本だけに噂に違わず難しい。

例えば「紅蓮百連の香ゆかし衣袂に裾に薫り来て、浮葉に露の玉動ぎ立葉に風の軟吹ける面白の夏の眺望は、赤蜻蛉菱藻を嬲り初霜向ふ岡の樹梢を染めてより全然となくなったれど・・・」と「。」のないまま永遠と続く。

もちろん漢字も現代風に読んでは意味が分からなくなるからいけない。

まあ、要は、谷中感応寺の五重塔建立あたって誰を棟梁にするかという問題に、お和尚が授けた一言で、決まるか否かの問題と人情味溢れる話なのだが。