愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

朝井まかて

最悪の将軍 朝井まかて

タイトルから想像して当然「生類憐れみの令」を悪法と捉え、それに拠って如何に町民が苦しめられ疲弊したか、犬公方様は人より、お犬様の方が大事、さぞ評判の悪い将軍綱吉の話かと思ったが、さに非ず、著者の歴史観は綱吉を名君のように扱い書かれている。 …

先生のお庭番 朝井まかて

しぼると(シーボルト)先生の園丁として仕えることになった熊吉少年の出島での日々を描いた作品で、主にシーボルト事件までが書かれている。 園丁として薬草作りに励み、殊の外真面目でシーボルトに気いられ、「草花を母国へ運びたいという」シーボルトの意…

ぬけまいる 朝井まかて

なるほど、女性三人の東海道中膝栗毛というわけで、「ぬけまいる」とは家人に何も告げず、家出同然でお伊勢参りに繰り出すということらしい。 路銀も充分ではなく、道中手形も用意せず、何とかなるだろうというあなた任せ発想から旅先での人助け、博打、恋、…

眩 朝井まかて

盲目の娘を通して描かれた『阿蘭陀西鶴』、水戸天狗党の領袖武田耕雲斎の妻で、維新後「萩の舎」を主宰した中島歌子を主題にした『恋歌』、そして今回の『眩』は葛飾北斎の娘葛飾應為を扱っているのだが、この人の作品はどれも素晴らしい。 まるで江戸時代の…

阿蘭陀西鶴 朝井まかて

「好色一代男」や「世間胸算用」などの浮世草子で知られる井原西鶴は松尾芭蕉、近松門左衛門と同時代人だったんですね。 俳諧師として、一昼夜に多数の句を吟ずる矢数俳諧を創始、2万3500句を休みなく発する興行を打ったこともあるとか。 本当ですか西鶴先生…

恋歌 朝井まかて

中島歌子の前半生にこんな経歴があるとは知らなんだ。 それにしても文句なしの直木賞作品だと思う。 私も絶賛します。 時代考証、武家言葉、語彙の巧みさなど、どれをとってもまたとない作品。 平穏な家庭生活だったが、夫が天狗党の乱に参加したために一転…