しぼると(シーボルト)先生の園丁として仕えることになった熊吉少年の出島での日々を描いた作品で、主にシーボルト事件までが書かれている。
園丁として薬草作りに励み、殊の外真面目でシーボルトに気いられ、「草花を母国へ運びたいという」シーボルトの意志に知恵をしぼり奔走するが、オランダ船の座礁事故が思わぬ事件に展開していく。
座礁した船から、国外に持ち出しを難く禁じられていた品々が海岸に流れ着き、幕府の知るところとなって、関係者を総てお縄となり、きつい取り調べを受けることになる。
熊吉はシーボルトが思ったほど善良な人ではなく、自分たちはただ単に利用されていたのではないかと、尊敬してきた先生への気持ちを変えていく。
朝井まかての作品はこれで5作目だが、個人的にはこの人の時代小説よりは、やや歴史小説っぽい作品の方が好きで、最近は新作を心待ちするようになり、好きな作家のひとりとなった。
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