幕末・維新(読書録)
本書は古書市で買ったと思うのだが、先ずタイトルに惹かれた。幕末、会津戦争や長岡城攻防戦で有名な北越戦争などはよく知っているが、二本松の落城に関しては殆ど纏まった本などなかったので、作者は無名でもこれは買うしかない1冊だった。読後、解説で初め…
小学校の頃に「赤穂浪士」を知ってから、ついぞ判官びいきに凝り固まった私は、義仲、長政、勝頼、光秀、三成、慶喜、西郷と敗者の側を応援すること、紙面で格闘するが如きだが、この中で唯一滅亡しなかったのが慶喜だ。タイトルが『慶喜のカリスマ』とある…
輪違屋糸里とはまたタイトルがいいですね。 実在の人物です。 裏表紙の説明書きを読むと芹沢鴨とあったので即買いしました。 芹沢鴨を前面に扱った小説は先ず稀なので読むしかありませんね。 話は少し変わりますが、私が歴史上の人物で初めて知ったのが近藤…
江戸時代、日本人の外国漂流としては、中浜万次郎、アメリカ彦蔵、大黒屋光太夫などが有名だが、逆に日本に漂流したものといえば、明治23年に和歌山串本町沖で遭難したオスマントルコのエルトゥールル号遭難事件が有名だろう。 500名以上の犠牲者が出たが住…
歴史小説作家だった故早乙女貢氏は生前『その時歴史が動いた』などで何度か拝見したが、いつも和服姿で、どこか古武士然とした風貌は少し近寄り難いタイプの人だった。 司馬遼太郎ファンの私は司馬さんが書かなかった穴埋めと言っては失礼だが、他の作家で多…
江戸時代、老中というのは一人ではなく、常に四人ぐらい存在し、そのメンバーの合議制で物事を決めていたらしい。 幕末、ペリー来航時の筆頭老中は阿部伊勢守正弘で、この難局を乗り切るため担ぎ出されたのが堀田備中守正睦で、大老井伊直弼が登場するまでは…
慶応4年3月15日、新政府軍による江戸総攻撃の予定日だったが、勝と西郷の会談で江戸城は無血開城、その日、日本で初めてピストル自殺した人がいた。 幕末、幕府内に忽然と現れた傑物、川路聖謨(かわじ としあきら)。 幕臣の子に生まれたわけでもないが稀に…
久しぶりの吉村昭作品。 この人の本は歴史小説というより記録文学と言った方が正しいかも知れない。 それ程までに緻密さが随所に表れ小説という割には会話が少ない。 司馬作品が歴史の本流なら吉村文学は埋もれた脇役達の発掘作品と言ってもいい。 幕末もの…
うふ、 あまり一般向きな本ではないが「衝撃の真実」なんて言われると気になる。 釣られるようにまあ読んでみるかとレジに向かってしまった。 維新後、大久保利通が暗殺されるまでに既に3人の高官が殺害されているが、それだけ日本史は暗殺の歴史と言っても…
歴史小説作家だった故早乙女貢氏は生前『その時歴史が動いた』などで何度か拝見したが、いつも和服姿で、どこか古武士然とした風貌は少し近寄り難いタイプの人だった。 司馬遼太郎ファンの私は司馬さんが書かなかった穴埋めと言っては失礼だが山田顕義を扱っ…
いつの時代でも宰相暗殺は驚天動地だろうが大老暗殺は当時の幕閣をどれだけ驚愕させたか!。 それも登城中の桜田門外で。 本書は殆ど安政年間の問題で尊王、佐幕、攘夷、開国と複雑にして猫の目のように変わる政局を捉えて面白い。 ペリー来航時の筆頭老中は…
幕末、猛威を振るった尊王攘夷の運動は水戸藩から始まったが、武田耕雲斎を首領とする水戸天狗党の乱が壊滅するに及んで、騒乱の火種は長州に移った。 その一部始終は長州藩の正史として維新後、『防長回天史』という名で編纂されたが、これはまさに勝者の歴…
この本には自害、自殺、獄死、病死、戦死、刑死、惨殺と様々な事情で幕末期に死に至った22人の女性が書かれているが、これはほんの一例で実際にはもっと多くの女たちが命を落としている。 例えば会津戦争での女性の犠牲者は233人。 幕末維新が趣味で、今まで…
永井荷風はこんなことを言っている。 余裕のない現代人にはけっして承継する事の出来ないそういふ昔からなるつまらぬ職業は、手慣れた其の老人の死と共に永劫この世からはなくなって仕舞ふのである。 江戸情緒をこよなく愛した荷風散人らしい言葉だ。 おそら…
比較的有名なこの絵を一度ならず見たことがある人もいると思う。 作者はドイツ人画家ヴィルヘルム・ハイネ。 ペリーの日本遠征に随行画家として1854年に下田にやって来た。 その時に描かれた所謂、「下田公衆浴場図」は合衆国政府に公式文書の記録として提出…
本題を前に、どうしてこう昔の本は読み辛い製本になっているのか。 奥付を見るに昭和40年11月10日発行となっている。 単行本、二段組みでまた文字が小さい。 故に一向に捗らない。 つまり、当時にあってはまだ活字離れと言われる時代ではなかったためか。 数…