愛に恋

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輪違屋糸里 (上巻)浅田次郎

輪違屋糸里とはまたタイトルがいいですね。

実在の人物です。

裏表紙の説明書きを読むと芹沢鴨とあったので即買いしました。

芹沢鴨を前面に扱った小説は先ず稀なので読むしかありませんね。

話は少し変わりますが、私が歴史上の人物で初めて知ったのが近藤勇なんです。

幼少の頃に育った旧国鉄の東京板橋で、その駅前に新選組局長近藤勇の墓があり、よくかくれんぼなどして遊んでいましたが、無論、名前は父から聞いて覚えたものの、その誰かは知りませんでした。

千葉の流山から下って板垣退助率いる官軍に投降したのち、この地で斬首されました。

だからというわけではないが、私は21歳の頃から大の新選組ファンになり、当時、友達から深夜に『燃えよ剣』という番組が面白いから見て視ろと言われたのが運の尽き。

そうです、司馬遼太郎原作の名作『燃えよ剣』です。

土方歳三を主役に新選組の成り立ちから函館戦争まで、土方の死をもって終わる作品で、原作も買って読み、以来、司馬さんのファンになり、作品は基よりこの際だからと徹底的に幕末史を勉強しました。

清河八郎の暗殺から新選組内の暗闘、それぞれの死、僅か数年で散っていく彼らの人生を読んでいると、その凄まじい生き方に哀惜の情を覚え、20年ほど前に新選組の屯所を訪れ、今も残る芹沢鴨暗殺現場となった部屋を見学しました。

近藤一派に殺害されたのは芹沢以下、同室で寝ていたお梅と平山五郎。

通りの向かいには前川邸があり、邸内は見れませんが山南敬助さんが切腹した部屋もあるはずです。

輪違屋糸里とは置屋輪違屋の糸里という大夫のことですが、近くには国の重要文化財に指定されている角屋もあり、芹沢暗殺の直前まで隊士がみなして飲んでいた所です。

新選組ばかりではなく西郷隆盛など薩摩の集会所でもあったので見学して来ました。

本作の主人公は男性陣ではなく、前川家のおまさ、八木家のお勝、芸妓吉栄、お梅、そして糸里と、女性の側から歴史を読み替えるという新たな視点で書いているところが、今までの新選組史とは違うところでしょう。