愛に恋

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戦場のアリス ケイト クイン

本書は女性作家が書いた650頁にも及ぶ長い本で、実在のイギリス諜報部員をモデルに、第一次大戦下の1915年にドイツ軍ご愛用の高級レストランでウェイトレスとして働くイヴ・ガードナーと、第二次大戦中に行方不明になった、従姉のローズを探しにフランスに行く妊娠中の19歳のシャーリー・セントクレアを主人公に、1947年と交差させながら展開していく実にスリリングな小説で、いつの間にかイヴ・ガードナーに感情移入していく、久々に興奮した翻訳小説だった。女性スパイの厳しい現実、間違えれば死刑もあり得る綱渡りの職業にいつしかのめり込んで行くイヴ。ドイツ軍側もスパイ摘発に血道を上げる命を懸けたぎりぎりの綱渡りに、誰もがイヴの姿に感動するだろう。物語の最終は作中の現代である1947年に結末を迎えるが、イヴとシャーリーがどうなっていくのかはお楽しみ。