愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

令和文学

老害の人 内館牧子

私の街には駅の東西を挟み、関西では有名なカフェが2件あるが、ご多分に漏れず老害なるオバサンがたちが群れを成して山ほど存在する。 特に東口店には近くにパチンコ屋があるため、それを趣味にして生きている何組かのオバサンが毎日屯しては大きな声で駄弁…

凪の光景  佐藤愛子

佐藤愛子の『血脈』は3巻で1900頁はあるだろうか、著者の父親、佐藤紅緑を中心に、サトウハチローら三代にわたる「佐藤家の荒ぶる血」の歴史を描く自伝的小説だが、これが滅法面白い。何しろ書き手が上手い。長編小説を書かせたら本領発揮だ。本作も600頁近…

一人称単数 村上春樹

今年の2月10日発売の文庫を古書店で買えてラッキーってなもんです。8編からなる短編集でどこまでが実体験に基づいているのか分からないが、中でも「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」が一番良かったな。学生時代兵庫に住んでいた著者のガールフレン…

すごい言い訳!  中川 越

文字通り文豪たちの凄い言い訳になるわけだが、恋愛、結婚、借金、礼儀など縷々手紙であの手この手、のらりくらりでお茶を濁したり、何とか言い訳して引き伸ばしたりで相手が値を上げるような名分や迷文でごまかしたりしているようにも取れる。例えば織田作…

いかれころ

新潮新人賞&三島由紀夫賞ダブル受賞のデビュー作。 昭和58年に四歳だった女の子「奈々子」から見た南河内に暮らす代々の農家一族「杉崎家」を現在から回想して書いている作品で、二十四歳の娘に縁談が持ち上り、女性は二五までに見合い結婚する者も多い時代…