愛に恋

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すごい言い訳!  中川 越

文字通り文豪たちの凄い言い訳になるわけだが、恋愛、結婚、借金、礼儀など縷々手紙であの手この手、のらりくらりでお茶を濁したり、何とか言い訳して引き伸ばしたりで相手が値を上げるような名分や迷文でごまかしたりしているようにも取れる。例えば織田作之助などはソプラノ歌手笹田和子に失恋した腹いせに、こんな手紙を友人に送っている。「さて、申しおくれましたが、小生嘘から出た真にて、笹田ライトコメディ女史と結婚の破目にいたりました。実は小生もひそかに文谷女史に失恋以来、もはや破れかぶれ、遂に大デブと結婚というはしたなきことになりました。」文谷(ふみや)女史とは当時有名な映画女優。然し、この手紙はまったく酷いものだ、失恋した痛手で焦ってこんな「大デブ」と結婚してしまったと言い訳してる。