愛に恋

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やまいだれの歌 西村賢太

彼の本を読んでいて不思議に思うことがある。中卒、不登校家庭内暴力、学歴がないのをコンプレックスと自ら頭が悪いといいつつ、芥川賞作家になれるものなのだろうか。いや、学歴詐称などと言っているのではない。それらの悩みを解消し小説家になるには、ただひたすら読書に励むしか手があるまい。得られる知識、鑑賞力に感性、集中力などが、本人も気づかぬうちに優れた才能を発揮したということだろうか。事実、彼の文章にはとんでもなく難しい漢字が現れる。この「やまいだれ」という漢字からして読めない。私などが思うに読書量が多ければ作家になれるというものではない。そんなことなら私だってなりたい。併し、どうも彼の私小説は私には合わない。著者を投影した北町貫多なる人物の人を見下した態度。怠惰の生活習慣、風俗通い、日雇い仕事で日当は酒、煙草に消えるのが常のことで、どの本もその辺は似たり寄ったり。まあ、私小説だからあたりまえだが、言葉使いも汚く、女性を性の捌け口と考え、帰宅時には毎回、自慰行為がある。私が小説家なら自慰などは書けないな。読んでいて不愉快な点も多々あるが、おかしなことに私の知人の女性は西村賢太 のファンなのだ。女性なのに彼の文章に嫌悪感を覚えないのはこれ如何に、不思議でしょうがない。