現在のスマホの壁紙は、何年前だったか、大病をする前に紀伊國屋でサイン会があった時の村山由香さんとツーショットで撮った写真を使っている。
私が彼女に興味を持ったのは前作の『ダブル・ファンタジー』からで、その続編が本作となる。
タイトルを見れば分かるように、どちらもジョン・レノンのアルバムのから取ったものだ。
彼女は大の猫好きで、現在は5歳年下の従弟と結婚して軽井沢に住んでいる。
氏の本を読むのは4冊目だが、何と言っても彼女の素晴らしさは性愛に対する表現力だろう。
サイン会の時、みんなにそれぞれ自作に対する感想を簡単に書いてくれというので、私は「年季の入った自慰で落とし前を付ける」という『ダブル・ファンタジー』の一節を書いて提出したが、本当にこの文面には驚いた。
女流作家でこんなにあけすけにオナニーを表現した文章を見たことがない。
本書でも「けれど彼は、こちらを抱きはしない。首より下に触れさえしない。迂闊に触れればたちまちその先の面倒ごとまで要求されると思い込んでいるらしく」って、上手いよね。
こんな文章が書ける人と付き合ってみたかった。
更に「旧知の道筋を辿った指先は、弱いところを的確に探りあてる」
彼女は3か所にタトゥーを入れているらしいが、一か所は胸に大きなものを見たことがあるが、後の2つはどこにあるか分からないが、おそらく一つはアソコだろう。
若し私が作家なら自らの性癖や経験などとても書けれるものじゃない。
併し彼女は「小説的鉱脈は、自分にとって一番恥ずかしいことの中にこそ埋まっているものなのに」と公言している。
それでこう書く。「惚れた男には秘密の罪悪感を上乗せして尽くすしかない」浮気してもその分は奉仕で上乗せするというのだ。
「腹の底に重たく溜まる大林(旦那)への苛立ちを、たっぷりストックしてある彼への罪悪感でもって薄めながら、二階へ上がる」本当に才能を感じる。
どうしても私は文章の上手い人に憧れる。
小説とまではいかないまでもエッセイ、コラム、詩歌などに長けている一般人はなかなかいないものだが、彼女のような人に出会っていたら本当に恋をしそうだ。
ただし、長い論文を書いた人の下書きを読んだことはある。