明治生まれの人は漢学の素養もあってか名文家が多い。
「半世紀ともなると難福交々(こもごも)、一見何の奇もなく無為に過ぎたようでも、越えて来た山河は険しい、祖母は神信心の篤い人だったので、一家が今日無事を楽しむのもその余徳であろう」
昭和27年2月の文章だから私はまだ生まれていない。
「半世紀ともなると」というのは結婚50年ということだと思う。
「難福交々」は辛いことも楽しいこともと訳したらいいだろう。
しかし「一家が今日無事を楽しむのもその余徳であろう」
上手いこと言いますね。
名文とは簡潔にして明瞭なもの。
例えば私の好きな言葉。
「武士は相見互い」
私にはとても名文など書けぬが、ハッとするような文章に出会うのは、旅先で美人と擦れ違うようなものだ。
ポチッ!していただければ嬉しいです ☟