本書の発行は大正二年の元旦。
10篇からなる短編集で、まだまだ「小説の神様」には程遠いい作品ばかり。
殆どが明治の後半に書かれたものだが、志賀直哉に限らず、この時期の小説は短編が多い。
漱石が如何に突出していたかが良く分る。
どれもこれも未完成で終わっているようなイメージだ。
概してこの手のものは記憶に残らず、読んだ先から忘れていく。
それにタイトルの『留女』からして何のことやら分からなかったが、どうやら著者の母の名前らしい。
然し作品中に「留女」なるものは登場しない。
全編、旧字体で書かれているが、さほど苦労もなく読める。
だが、本当に忘れてしまうから勿体ない。