愛に恋

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アマテラスの暗号 伊勢谷 武

あれは25年ほど前だったか、みのもんたの番組で日本人はどこから来たのか、失われたイスラエルの10支族の末裔が日本に遣って来て、秦という姓名で全国の神社、果ては天皇の先祖にも深く拘わっているのではないかという、実に興味深い番組を2時間に亘って放映していたが、本書はまるでそれを裏付けるような1冊であった。例えば日本人なら誰でも知っている「ヤーレンソーランソーランソーラン」とはヘブライ語だという説がある。意味は「たった一人でニシンの大漁の喜びを歌う」ということになる。更にヘブライ文字とカタカナには同じ字が幾つも散見できる。決定的なのは九世紀に起源をもつと言われる京都の祇園祭りで引き出される大きな山車だ。屋台を堂々と飾る化粧生地のペルシャ絨毯やバクダットの宮殿、ピラミッドを描いた化粧のタペストリー、アフガニスタンの絨毯、いったいこれらの絵は京都と何の関係がというのか。祇園祭秦氏と深い関係のある祭りなのだ。神社は通常神紋という自社のロゴマークを持っているものだが、最も古くからある眞名井神社の神紋は六芒星、別名ダビデの星エルサレムの語源はエル・シャローム平安京という意味、エルサレムの北東にある湖ガリラヤ湖は琵琶湖という意味。そして京都を遷都と定め平安京を造営したのが秦氏。ここまで読んでくるとユダヤ人と日本人が全く関係ない民族とは思えなくなる。本書は噂に違わず非常に難しいもので、最初は研究書かと思っていたが実はミステリー小説なのだ。登場人物たちは全員がその道のプロ級で、古代史や神道キリスト教ユダヤ教に詳しい人物ばかりという設定なので門外漢の私は後半からまったく理解できなくなってしまった。まあともあれ、挫折せず投げ出さないというのが私の信念だから、読むには読んだが。