『思い出トランプ』を読んだのは、もう随分昔のことだ。
『寺内貫太郎一家』を見ていたのも、あまりにも古い話になる。
そんな才能ある向田邦子の搭乗していた飛行機が運悪く墜落したと聞き、誰もが耳を疑っただろう。
その彼女の炭化した遺体写真を見た時には暫く目が離せなかった。
本書は九歳年下の妹が書いた姉の思い出で、私たちの知らない向田邦子があり興味深い。
戦中戦後の物不足な中、器用に裁縫し妹たちの服を設える姿など、何に対してもめげずに一生懸命な姉は妹にとって、常に憧れの存在として映っていたのだろう。
私にもこんな姉がいたら、さぞ人生も面白かっただろうにと羨ましく思う。
失礼ながら、女流作家にはあまり美人という人を見かけないが、それでも誰かと付き合ってみたいかと言われたら、戦前派では宇野千代、戦中派では向田邦子、戦後派では村山由佳を上げたい。
実は村山由佳氏と一緒に撮った記念写真がある。
まあそれは余分な話で。
因みに向田さんが存命なら御年91歳。