愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 うん、運のつきってぇ奴さ

例の大麻の件で勝新太郎がハワイから戻り小菅の拘置所に入れられた時のことを勝はこう語っている。「今までの自分を自分で見て、その自分のいい所を出す場所さ。まぁ、あんないい所はないな。ただ、部屋の鍵を外から掛けるてぇのが、ちょっと気になったけどさ。自分の部屋なのに、自分で中から掛けられないなんてぇのがなぁ。うん、それでも聖地さ。夜の九時になると部屋の電気が消えるんだ。自分で消すんじゃないよ。そんな面倒臭いことをしなくても、音楽が鳴り止むと自然に電気が消えるってぇいう寸法さ。いい所だろ?入りたいだろう?なかなか入れてくれねぇんだ、うん。電気が消えて暗くなると、窓に月が出ていて、俺をじーと見ているんだ。俺も月をじーと見るんだ。ハワイで見た月も、家で見た月も、月に変わりはねぇんだけれど、何か変わっているんだ。よーく見ていると、月と俺と間に鉄の格子があるんだよ。うん、運のつきってぇ奴さ」「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。これを読んでいると勝新太郎という人はなかなか文才があったんだね。おやすみなさい、また明日。