愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 人はその人を知る人がいる限り生き続ける

私の祖父を知る人は今の世にひとりしかいなくなった。年の離れた従姉である。私の父を知る人は、私以外では3人しかいない。年上の従姉2人と年下の従妹ひとりである。祖父の生きた明治、大正、昭和。父の生きた大正、昭和。そして私が生きる昭和、平成、令和。先日、テレビを見たいたら20代の若い女の子が、60代と思しきおじさんに「趣味は何ですか?」と訊いていた。するとおじさんは少し考えて「テレビを見ることと寝ること」と答えた。つまりは無趣味ということだ。趣味というのは何か探究性のあるものだと思う。学んだり探したり集めたりと、自分ならではのアイデンティティというものかもしれない。寝るなんていうことは全ての動物にとって必要な欲求で趣味なんていうものではない。「人はその人を知る人がいる限り生き続ける」と言われている。確かにそうだ。父は今以て私の胸の中で生きている。生きている私は生かされているともいえる。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。だからこそ無駄に生きることはしたくない。何もすることがないからテレビを見て寝る。残された時間内に学ばない余禄の人生なんて馬鹿げている。おやすみなさい、また明日。