愛に恋

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人声天語 坪内 祐三

天声人語ではなく人声天語天語である。人声天語とは、あくまでも個人的な声という意味らしいが、文筆家として読書家としてかなり豊富な知識と自信がおありだ。坪内氏は古本界では有名な人だったが先年、お亡くなりになった。本書は20年ほど前の時事を主に扱っているが、時に痛烈に、また辛辣に物事を批判している。批判精神なくしてコラムなど書けるわけがないのだが、いざ、自分もコラムニストになってみようかなという、そんな甘いもんではない。すべてのことに精通していなければ、おいそれと書けるものではなく、坪内氏のように多くの著述家として早大教育学部非常勤講師ぐらいの才能がないと、私みたいな唐変木には無理な相談だ。しかし、このような本を読むと、筆一本で生計を立てることの難しさと羨ましさを感じる。