今年だったか忘れたが、浪花千栄子の本に関するレビューを書いた。
浪花千栄子、誰それなんて思っている世代の人には、落語家の柳家金語楼など知っている人も今や少ないのじゃないでしょうか。
いやはや、思えば遠くへ来たもんだ。
数年前に古書店で買っておいた本書を思いつき読んでみたが、全体は駄洒落で埋め尽くされている、今なら親父ギャグと言われそうだ。
何しろ昭和40年に書かれたものだから、そんな流行語もなかった時代。
金語楼のトレードマークは、つんつるてん禿げ頭。
当時は知らなかったが、一読してみるに流石は落語家、その方面で覚えた知識は並大抵ではなく、いくら駄洒落といっても、そればかりで300ページも書けるわけでもなく、中でも目を見張るのが都都逸。
こればかりは遊女や芸者が相手じゃないと、なかなかに知る機会がない。
寅さんのテキヤ家業などで使われるような、所謂、啖呵売のようなものも出て来る。
確かに読んでいて、思わずくすっと笑えてくるような男女の機微に通じることや、下の話も出て来るので面白いし相当な博識でもある。
昭和40年当時、弟子が何人いたのか知らないが、面白い芸人だったことは微かに覚えている。