愛に恋

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ベンガルの憂愁―岡倉天心とインド女流詩人  大原富枝

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余談だが岡倉天心は横浜生まれで、福井藩の下級武士らしい。

してみると、私の先祖とは同藩ということになるのか。

ともあれ、世上言われるところの桁はずれな天心の生涯というものを知らない。  

評伝好きな私だが、彼のものは読んだことがない。

少し勉強する必要がある。

本書はインドの女流詩人、プリヤンバダ・デーヴィーとの間に交わされた、愛の手紙と、その変遷を扱ったものだが、読んだ限りでは二人の邂逅は3回、期間はたったの一年未満。

愛の発火点イマイチ掴めなかった。
天才同士、自ずと惹かれるものがあったと言うことか。
二人の愛の書簡も哲学的、詩的で一般人が書くものとは程遠い。
然しながら私の気をさらったのは、32,3年間もの長きに渡って精神病院で孤絶の生涯を送った、天心の不倫相手、九鬼波津子という人妻。
不倫から派生した夫九鬼隆一と天心の妻が絡む、10年に及ぶ泥沼の様相というのも、本書からはあまり伺い知れなかった。少し出直さなければいけない。