愛に恋

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マリリン・モンローの最期を知る男 ミシェル・シュネデール

ハリウッドの美女といえば先ず、エリザベス・テーラージンジャー・ロジャースを挙げたい。併し、誰となら付き合いたいかと問われれば、迷わずマリリン・モンローと答える。グラマー女優ならジェーン・マンスフィールドの方が遥かに上だが、モンローの人間的な可愛さというものは他の女優と比べて群を抜いているだろう。モンロー最後の映画は『荒馬と女』だが、はたしてモンローという荒馬を私が乗りこなせるかどうかは自信がない。関係をもった有名人だけでもジョー・ディマジオアーサー・ミラーフランク・シナトラケネディ大統領など、とても敵う相手じゃない。彼女が逃げないようにするには深い愛情と、性的欲求を完全に満たすしかなさそうだ。精神的に安定した生活で薬物依存症を断つ。そうしないと彼女は誰彼構わず寝てしまう。彼女の精神科医「だれかれかまわず文字通り身を任せるように仕向ける強烈な性的欲求」と書いている。さらに安定した住居を持たず、35年で57の家々で暮らし、大欠点といわれる平気で撮影に遅刻し、その途中で何処かへ消えてしまう。中でも酷かったのは、あれほど行かないでくれと会社側が頼んだのに、マディソン・スクエア・ガーデンで行われた、ケネディ大統領の45回目の誕生日に「ハッピー・バースデー」を歌いに行ってしまった。この時、マリリンの前にエラ・フィッツジェラルド、ペギー・リー、マリア・カラスが歌っていた。常軌を逸していたマリリンはフロイト派の精神分析医に罹っていた。フロイトの娘を始めとして複数の専門医に莫大な診療費を払っていたらしい。モンローの最期とは何をもって結末となるのだろうか。1962年8月4日、午後7時まで主治医のラルフ・グリーンスと会っていた。医師が帰ったあとモンローは電話をかけまくり、その後どうなったのか。殺害、自殺、事故死。ケネディと一緒に撮った写真が4枚あったが、SPの工作員が週刊誌『タイム』の写真現像所を急襲して持ち去ったらしい。殺害となれば疑われるのはマフィアの親分サム・ジアンカーナ、ロバート・ケネディ、私としては自殺ではなく薬物の過剰摂取での事故死説を取りたいし、致死量に相当する薬を持っていた。モンローはかなり本が好きなようで、残された写真に多くの読書中のものがある。トルーマン・カポーティは大のモンローファンで、『ティファニーで朝食を』はモンローの為に書かれた小説だった。サルトル「マリリンこそは現存する世界最高の女優さ。彼女から発散するのは光ではなく、熱気なんだ。その熱気がスクリーンを燃え立たせるんだ」良かった、サルトルと一緒の意見で。長々と失礼しました。