愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。 江村宗元の雑録集

江戸初期の国学者である江村宗元の雑録集は、その頃のさまざまな見聞記を集めている古書だが、文中に曰く桜島に立島(辰島)と呼ばるる部落あり、遠隔、寂寥たる漁村なれば訪ふ者なし。以て旅人のここに流浪する者あれば、部落の女、一夜の契りを進んで結ばんとすると言ふ。甚だ怪しむべし。その習わしは、古(いにしえ)秀頼公に従ひたる局女中たちの好んで近隣の男を狩りしことに由来するといふ」秀頼の薩摩落ちには何人の女が従ったのか、寛文十二年に上梓された「大阪物語」には、最後まで従った女として大野修理の母、大蔵卿局宮内卿局などの名が出てくる。そのうち二十三歳の秀頼に従って三、四人の女中たちが薩摩に落ちのび、薩摩の手によって当然、夜伽の相手として近隣の部落の男たちが集められたという。ふん、これに似たような話を何かで読んだことがある。九州のどこかに何人かで旅行に行ったおり、宿の娘が親公認の下で一夜を共にしたと。東京から来たお客には積極的に娘を差し出す、これは明治の話だが。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。昔は夜這いなどが田舎ではあったらしいが、いつ頃から始まっていつ頃から無くなったのか、私は知らない。おやすみなさい、また明日。