愛に恋

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1493 世界を変えた大陸間の「交換」

タイトルはコロンブスが新大陸を発見した「1492」ではなく翌年の「1493」になっているが、この年コロンブスは2回目のアメリカ行きを決行し、タイトルにある「交換」というのが、その後、大々的にアメリカのみならずアジアにも普及し、良くも悪くも影響を与える、大スペクタクルなドラマが数百年にわたって展開していく模様が本書のテーマだろう。何千年もの間、ヨーロッパ人はヨーロッパで、アジア人はアジアで、アメリカ原住民はアメリカで、そしてアフリカ人はアフリカで暮らしていたものを、大陸発見で、その総てが根底から覆されてしまった。そこには数百万人の死、戦争、文明の破壊、マラリア、黄熱病、性病、そして森林破壊と動植物の移動がもたらす災禍。逆にヨーロッパの大飢饉を救ったアメリカ原産のジャガイモとトウモロコシの輸入は大発見だった。入植した白人たちは来る日も来る日も銀発掘のためにアフリカから奴隷をかき集め、絹と交換のため中国輸出をはかり、悲惨な状況下で働かされる黒人たち。当時のヨーロッパの生活水準は今日のボリビアジンバブエより低かったとある。それが大陸発見でスペインにも大量の銀が輸入されることになる。アフリカから連れて来られた奴隷の数は1170万。欧米で相互に交換された主な物は、タバコ、銀、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、サトウキビ、ゴムノキ、マラリア原虫、黄熱病ウィルス、馬、鉄砲などきりがないが、今日でいうグローバリゼーションという概念が、この時から始まったといってもいい。それにしても本書は私にような門外漢が読むようなものではなく、各分野は専門的な用語と研究などが多く、序の口の私には理解できないことが多かった。