愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

ダメオのアニマル・ラブ Part.31 

「ちょっと、起きなさいよ」「グゥー」「ちょっと」「グゥー」「ほら、ちょっとってば」「グゥー」「何しにきたのよ」「グゥー」「眠たいなら家に帰って寝なさいよ」「グゥー」「ほら、怒られるよ。起きて帰りなさい」「グゥー」「誰、いびきかいているのは」「あっ、すいません。直ぐ帰らせますから。ほらバカ、バカ猫。起きろってば」「フニャ」

♪ドライブウエイに春が来りゃ、イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ、イェイ イェイ イェイ イェイ。プールサイドに夏が来りゃ、イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ(イィわ!)。レナウン レナウン レナウン レナウン娘が、オシャレでシックな レナウン娘が、ワンサカ ワンサ ワンサカ ワンサ、イェーイ イェーイ イェイ イェーイ。「何だかノリノリでお出かけだね。今日は何処へ行くの?」「天気がいいからね、渡月橋まで行こうと思ってるんだよ」「良かった、戎橋じゃなくて。あそこは情緒がなくて嫌いだよ」

「暖かいね、何処行こう」「何処行く!」「そうだな、たまには丘を越えて緑の草原まで行ってみる」「少し距離があるけど行ってみようか」「それなら行く前に腹ごしらえをしないとね」「そうね、然しそれこそ何処へ行けば腹ごしらえができるの」「う~ん、一休食堂のおばさんには嫌われているし」「喰うかい食堂は最近ひまでエサにまわす残り物はないし」「こういう時は頼みの綱、ダメオ食堂に行くしかないね」「そうね、あそこの人は猫に優しいからサンマでも呉れるかもしれないよ」「よし、そうと決まったら善は急げ」「レッツゴー二匹」

「ゆうきやこんこん、あられやこんこん、ふってもふってもまだふるやまず、いぬはよろこびにわかけまわり、ねこはこたつでうんこする」「うんこするじゃないよ。まるくなるでしょ」「あ、そうか。まるくなるか」「いい歌だね」「うん、これ灯油を売りに来る人の歌だからね」「何言ってるの。これは童謡でしょ」「動揺。何、動揺って」「アンタ、童謡知らないの」「知らないよ、動揺なんて」「バカだね、バカだとは思っていたけど、ここまでバカとは知らなかったわ」「悪かったね、臆病だからね、日頃、動揺ばかりしてるよ」「その動揺じゃないわよ」

「おお、ミケ子、もう離しはしないよ」「クロちゃん、もっとしっかり抱いて」「好きだ」「私もよ。大好き」「僕たち夫婦(めおと)になるんだね」「そうよ、これからずっと一緒よ」「離さないからね」「あたりまえよ。1年2か月も待ったんだよ」「今日から一緒の部屋で寝ることができるね」「これもみんなここのご主人のお陰だね」「感謝しなくちゃ」「いい家に貰われて良かった」「ホント、ほんと」「さあ、そろそろエサを食べにいこ」「うん、これから毎日一緒に食べようね」「うれしい」

「おい、やめろって。飛ぶな」「大丈夫だよ、任せとけって」「いやいや、本当に危ないってば。死ぬぞ」「死ぬわけないだろ、ここは俺さまの通り道じゃ」「何が通り道だ、下手したら谷底に真っ逆さまなんだぞ」「それは運動神経の悪い奴の話さ。俺みたいな超エリートには関係話だよ」「もう、本当に知らないぞ」「いいからお前は黙って見てればいいよ」「見てられない。こっちが怖くなってくる」「じゃ、あっちへ行ってろ。見なくていい」「もし成功したら呼んでくれよ」「あっという間だから直ぐ呼ぶぞ」「待ってるぞ。成功を祈る」「行くぞ、エイ」

うみ君といいます。今年のはじめから水頭症が悪化して頭の水により脳が圧迫され目が見えなくなり寝たきりだそうです。幸い飼いさんが福岡の保護団体らしいので本当に良かったと思います。野良猫だったら大変でした。例え見えなくても生活の心配がないから良かったね。ポジティブに生きて行ってね。

「よ~し、ここで休憩しよう。毛繕いを始めろ」「は~い」「エサ場はまだ先ですか」「そうだな、ここからまだ20分ぐらい先だな」「お腹空きました」「分かってるよ、俺も空いてるからもう少し我慢しろ」「全員が満足するぐらいありますかね」「そこが問題だな」「なかったらどうしましょう」「エサは必ずあるが問題は量だ。とにかく行ったらガツガツする前に俺がそれそれの分け前を決めるから、それまではありつくな。分かったな」「分かりました、みんなに均等に分けるんですね」「そうだ、何事も民主的にな」「それが僕たちのいいところですね」

「ねえ、どうしたの。なに怒っているの」「どうしたんだ」「分からないけど、何か怒ってる」「なんで、おい、どうしたんだ」「ぷん」「なぜ、そんな顔してるんだ」「ねえねえ、なんとか言ってよ。何かあったの」「・・・」「黙ってちゃ分からないじゃないの」「おい、なんとか言えよ」「何も言いたくない」「なんで」「とにかくそっとしといてくれよ」「なんでも言えよ、力になるぞ」「ほっといてくれよ、今は誰とも話したくないんだ」「そんなふくれるなよ、仲間だろ。話訊くからさ」「いいから、あっちいけよ」「そうかい、おい、あっち行こうぜ」

「ちょっと、やめてよ」「なぁミーコ、頼むよ。僕の願いを叶えてくれ」「だから何度も言ってるじゃないの、私にはその気がないって」「こんなにも君のことが好きなのにどうして分かってくれないんだ」「恋というのはね、相撲やプロレスじゃないんだから、押し倒して押し売りのようにすれば気持ちが伝わるというもんじゃないのよ」「じゃ、どうすればいいんだ」「恋はね、閃きよ、ひらめき」「ひらめき!」「そう、閃き。インスピレーションというかフィーリングというか、一種の衝撃なのよ」「僕には衝撃はないの」「「申し訳ないけど何も感じない」