愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

夢声戦争日記〈第6巻〉昭和20年 (後編)

ブロガーというのは決して仕事ではないが、こう毎日、記事を書いていると、疲れもするが、それはそれなりに楽しい。 しかしながら所詮は素人の域を出ないのであって文章の作成には苦労が絶えない。 そして今日も、まるで何かに憑りつかれたように書かねばな…

夢声戦争日記〈第6巻〉昭和20年 (前編)

さてと、全く苦心惨憺、何とか第6巻を読了。 今回は昭和20年1月から6月まで。 しかし、この本、実に読み辛い。 何しろ夢声先生、どういう訳か文章の送り仮名を平仮名とカタカナの両刀使い。 さらには死語となっているような漢字にルビも振ってないという始末…

夢声戦争日記 第5巻 昭和19年 (下)

夢声戦争日記、第5巻は19年7月から12月までの記述ですが、どうなんでしょうか、 10月頃まではのんびり生活しているようにも思えてしまうのですが。 当然の如く、同時代に書かれた日記などでは政治家は政局や国際情勢を、軍人は戦況を書くわけですが、我等が…

夢声戦争日記〈第4巻〉昭和19年 上

夢声日記、第四巻は昭和19年元旦から6月までなのだが、長編日記を読むと言うの些か難儀なものである。 ではと、この時期、戦火はまだまだ本土からは遠く、夢声は日々仕事に追われ、各地を慰問旅行しているばかりで、戦況の様子は分かりにくい。 既に食料難の…

夢声戦争日記〈第3巻〉昭和十八年

さて、第三巻である。 はっきり言って民間人の日記を読むというのは、あまり面白い作業とは言えない。 ひとつには知らない人が無数に出てくることにもある。 戦時中ということを考えれば軍人や政治家の日記の方が戦況や政争でこちらも一喜一憂するが、いくら…

夢声戦争日記〈第2巻〉昭和17年 下

さて、夢声戦争日記第2巻は昭和17年7月1日から始まる。 しかしである、徳川家では一向に戦争の気配が感じられない。 前編はまるで「夢声菜園日記」と見紛うような書き出しで、花が咲いた、アオガエルが来た、子供がトンボを捕まえたと何の変哲もない。 事態…

夢声戦争日記〈第1巻〉昭和16年・昭和17年 上

全七巻に及ぶこの日記は開戦当日から始まる。 著者は日清戦争が始まった明治27年生まれで、10年後の日露戦争、更に10年後の 第一次大戦、そして満州事変、日華事変、太平洋戦争と私たちの世代と違って戦争の表も裏もうんざりするほど見て来たと言っている。 …

第四師団司令部跡

誰も居ませんね! 静まりかえっています。 いや、そんなことはないです。 私の後ろには道行く人でいっぱいですが、誰もこの建物には関心を払いません。 何でしょうか、これは! 実は私、どうしてもこれを見たかったわけで。 そうなんです、第四師団司令部で…

二枚目の疵 長谷川一夫の春夏秋冬 矢野誠一

私には長谷川一夫に対して以前から三つの疑問があった。 時代劇の七剣聖と言われる大河内傳次郎 · 片岡千恵蔵 · 嵐寛寿郎 · 阪東妻三郎 市川右太衛門・月形龍之介、そして長谷川一夫。 後輩の大川橋蔵、中村錦之助、東千代之介、市川雷蔵、大友柳太郎、近衛…

虹の岬 辻井喬

確か初めて「若いツバメ」という言葉を使ったのは平塚らいてうと記憶するが。 明治41年、森田草平と例の塩原事件を起こした後、『青鞜』制作に入り、茅ヶ崎に移り住んで5歳年下の画家、奥村博史と同居したのを切っ掛けに友人たちに対して言ったのが「若いツ…

死刑執行人サンソン 国王ルイ十六世の首を刎ねた男 安達正勝

江戸時代、首切り浅右衛門といえば死刑執行人として、その名を現在に留めているが、代々、世襲制として山田家がその職に当たり、さしずめ今で言えば公務員ということになろうか。 では、アジア諸国やヨーロッパではどうなっていたのか、この職種ばかりは誰で…

シルバー川柳

私は俳句や短歌は得意ではないが川柳の方はわりかし好きなタイプなのだ。 以前、江戸期に詠まれた『セクシー川柳』なる本も紹介したような気もするが、よく耳にする『サラリーマン川柳』なる男の悲哀を歌ったものを読んでいると、世の男性諸氏には大いに頷く…

こちらあみ子 今村夏子

文学作品、特に感動小説などと言われるものは読む年齢によって受け止め方も違ってくるのだろうか。 昔、『二十四の瞳』を読んで感動のあまり小豆島まで行ってしまったことがあるが、 60を超えた今、初めて『二十四の瞳』を読んだとしたら果たしてあれほどの…

暗殺―明治の暗黒

本題を前に、どうしてこう昔の本は読み辛い製本になっているのか。 奥付を見るに昭和40年11月10日発行となっている。 単行本、二段組みでまた文字が小さい。 故に一向に捗らない。 つまり、当時にあってはまだ活字離れと言われる時代ではなかったためか。 数…

信子 獅子文六

獅子文六ブームはいつまで続くのだろうか。 もっか、ちくま文庫で10冊、それに追従して朝日文庫が2冊刊行したが、その2冊目がこの『信子』という本になる。 かなり古いもので戦前の昭和13年10月から15年2月かけて雑誌『主婦之友』に発表した長編小説とあるが…

古民家 練

「降る雪や 明治は遠くなりにけり」と詠まれたのは昭和6年のこと。 今や「昭和も遠くなりにけり」になった感が強い。 ましてや昭和前期の戦前となれば尚更。 私の住む地区は昭和20年の空襲で焼け野原。 さして軍需工場が在った地区ではないのだが絨毯爆撃で…

太平洋航海記 キャプテン・クック

10年程前までは大規模な古本市へ行っても、さほど疲れを感じなかったものだが最近はどうも腰の具合が良くない所為もあってかじっくり陳列棚を見れなくなった。 それでも何故か、これという本はしっかり目に留まっているからおかしい。 『太平洋航海記』とあ…

ぽんこつ 阿川弘之

例に拠って筑摩文庫、ユーモア小説の復刊、阿川弘之作品の第二弾である。 思うに、昭和30年前後のこれら大衆小説は殆どが絶版の憂き目にあっていることは間違いない。 例えば今日、石坂洋次郎などを読む人がいるだろうか。 おそらく本人たちも将来、自分らの…

芥川追想

追悼文だけで編纂した岩波文庫というのが嘗てあっただろうか! この手法なら明治以来、多くの文豪の死を、それぞれ一冊の本に纏め、いくらでも上梓できる。 芥川に限らず、是非、取り組んでほしいテーマのように思うが。 しかし、何故今回、芥川だったのか。…

挿絵画家の鬼才 岩田専太郎

昭和期の挿絵画家の最高峰にして天才と言えば、まず岩田専太郎だろう。 今日、この平成の世にあっては彼のような画法を見ることは全く無くなってしまったが、それだけに去って久しい昭和の郷愁を呼び起こす。 親の才能を引き継いだわけでもなく、ましてや遺…

大河内山荘

嵐山駅から徒歩で30分ほどのところに大河内山荘というところがある。現在は国指定の文化財に登録されているが元は昭和の大スター大河内傳次郎の別荘。 太平洋戦争前のことだと思うが、当時女人禁制だった別荘を初めて訪れた女優が高峰秀子だった。16歳の高峰…

芸術家たちの秘めた恋 メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 中野京子

思うに19世紀に現れた天才たちにとって音楽家ほど職業として激務なものもなかろう。 例えば小説家は日々、書斎でものを書き完成したら出版社に持っていけばいい。 画家はアトリエで作業し展覧会を開く、勿論、野外でのスケッチもあるが。 みなが家に籠ってい…

初夜 イアン・マキューアン

実のところ、年間を通して何冊か読まなくてもいいような本を買ってしまう。 10ページほど読み進めるうちに「しまった」た思うのだが既に後の祭り。 今回の本も当初から嫌な予感がしていた。 小説でありながら殆ど会話らしきものがない。 会話の部分だけを合…

インパール作戦従軍記 一新聞記者の回想 丸山静雄

第二次大戦の三大決戦と言えば、エル・アラメインの戦い、スターリングラード攻防戦、硫黄島の戦いとなるが、どれもこれもうんざりだ。 ロンメルとモントゴメリーが北アフリカで雌雄を決したエル・アラメインの戦いは灼熱の砂漠で激闘、両軍を悩ませたのは蠅…

妻への祈り - 島尾敏雄作品集

最近、梯久美子(かけはし くみこ)というノンフィクション作家に興味を持っている。 戦後生まれの55歳だが、女性には珍しく栗林中将を題材に本を書いたことが私の触手を動かした。 その梯久美子氏が『狂うひと ─「死の棘」の妻・島尾ミホ』という本を刊行、…

夢二の恋文

詩人高村光太郎は千恵子ばかりを書き、萩原朔太郎は陋屋の中で隣り合う孤独に青ざめ、夢二は女に彩られた文章しか書かない。 そんな夢二が最も愛した女性はおそらく笠井彦乃だろう。 彦乃は細面の柳のような麗人で長髪、なで肩、理想のモデルでもあったよう…

村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝 栗原康

世に言う甘粕事件を知るには数人の著名人の経歴も一応知っておかなければならない。 第一に大杉栄、そして甘粕正彦憲兵大尉、伊藤野枝、神近市子、辻潤、平塚らいてう 荒畑寒村、山川均、堺利彦などだろうか。 中でも大杉と甘粕に関する研究書は多い。 確か…

ホテル ニューグランドの魔法 横浜の時を旅する 山崎洋子

2008年夏、日産スタジアムで行われたサザンライブ参戦のため3泊4日の日程を組んで横浜へ行った。 宿泊先も横浜、新宿、藤沢と私にしてはかなり豪勢な旅で、横浜では山下公園を眼下に、氷川丸が係留されている絶好のポジションのホテルに宿泊したつもりだっだ…

腰痛に負けない体を無理せずつくる!! 毛ガニの腰伝説

「親族に癌や脳溢血で亡くなった方はいませんか」などという医者の話しはよく聞くが椎間板ヘルニアが遺伝するということは、ついぞ聞いたことがない。 父の晩年は、この椎間板ヘルニアに悩まされる日々だったが、よもや、そのヘルニアに息子である私も罹患し…

適塾

大阪の適塾、緒方洪庵旧宅と書いてあります。 大鳥圭介、大村益次郎、橋本左内、激動の時代を生きた人達が巣立っていった塾でした。 大村益次郎暗殺、橋本左内は刑死、共にこの門を潜っていたんですね そういえば福沢諭吉先生もここでした。 こちらが緒方洪…