愛に恋

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山猫 トマージ・ディ ランペドゥーサ

病院の帰り、梅田の古本買いに寄ったら行きつけの店にこの本が売っていた。1,320円也。珍しい本だが題名を見て直ぐ分かった。これは1963年に巨匠ヴィスコンティ監督が実在の貴族ランペドゥーサの小説を基に映画化した大作『山猫』に他ならない。バート・ランカスターアラン・ドロンクラウディア・カルディナーレ出演で私も30代の頃に観たが、あまり理解できなかった。ヴィスコンティのファンも多いと思うがどうも私は肌が合わない。彼の映画はホモチックというのが原因だが『地獄に堕ちた勇者ども』で、ナチの突撃隊の幕僚長レーム率いる幹部を襲撃する場面などでも、何となく変な場面が出て来る。『ベニスに死す』『ルートヴィヒ』へと続く「ドイツ三部作」の第1作で、ナチスが台頭した1930年代前半のドイツにおける鉄鋼一族の凋落をデカダンス調に描いている。併しガーディアン必読小説に入っているらしく、岩波赤版とあって悩んだが、思い切って買うことにした。昔風に言うならば、私など田舎から東京に出て来た書生で、独学で帝大性に負けないよう頑張ってはみたが、所詮は小作農家の一人息子、駄目なものはダメなのである。そんなおっかなびっくりな本なのだ。