愛に恋

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ダメオのアニマル・ラブ Part.51

「マギー、寒いよ。マギーってば」「煩いわねダン、私だって寒いのよ」「いつになったら春は来るんだ」「明日からよ」「明日?」「そうよ、明日からよ」「よく言うよ、来るくるって全然来ないじゃないさ」「だから今度はホントよ」「急に明日から春になるの!」「そうよ、起きたたら春よ」「へえ、季節っていうのはそういうもんかね」「そういうもんよ」「よし、それなら明日が楽しみだ、ねえマギー」「そう、はしゃげるわよ」

「誰なんだ、こんなものを砂浜に刺した奴は。ええ、犬は立ち入り禁止ってか。ふざけやがって、どこのどいつだ、出て来やがれ。懲らしめてやる」

「分かったわかった、ちょっと待ってよ。慌てないで、沢山あるから。ほら、待ちなさいよ、エサが出せないでしょ。みんなの分もちゃんとあるから」「もう」

「あ~、久しぶり元気だった」「もちろん元気よ、アナタはどうなの」「だいじゅぶよ、ちゃんとコロナワクチンも打ってるし」「インフルはどうなの」「インフルなんて罹ったことないよ」「アタシ、水虫に罹っちゃったのよ。もう痒くてかゆくて」「あ、うちに薬あったよ、ねえママ」「あるわよ、奥さんちょっと寄ってらっしゃいよ。薬貸すから、ついでにお茶でも飲んでいかない」「いこいこ」「ホントにうちの子とミカちゃんは仲がいいのね」「いつも一緒にいたいみたいよ」「ねえ、そうでしょ」「うん、一緒に住みたい」「まあ、そうはいかないのよ」

「さあ、行って」「なに言ってんのよ、下りてよ」「嫌だよ、行ってよ」「自分で行けばいいじゃないさ」「濡れるのが嫌なのよ」「うっそー、アンタ、アヒルでしょ」「アヒルだから嫌なのよ、羽が汚れるでしょ」「そんなの気にしてたら生きていけないじゃないさ」「いけるわよ、こうやってみんなを利用すればいいだけよ」「どういう勝手なアヒルなの」「これも生きる知恵よ」「じゃエサはどうするの」「綺麗な水のところで食べるの。綺麗好きで知られるキレコって知らないの、私のことよ、覚えておいてね」「もう会いたくないわ」「そうわいかないわ」

「行くか!」「うん、寂しいけど仕方ないね」「そうだな、結局、この町でもいいことなかったな」「そうだね、誰からも受け入れられなかったし」「次は何処へ行く」「うん・・・、かなり歩かなきゃならないかもな」「隣町でも僕たちのことは知れ渡っているだろうから、テキサスまで足を伸ばすか」「うん、野良猫が沢山いる町がいいな」「そうだね、とにかく仲間を沢山作りたいからな」「よし、少し遠いいけどテキサスにしよう」「まあ、何とかなるさ」「うん、悪いことばかりじゃないだろうから、頑張って行こう」「そうだな、前向きにな」「うん」

「おお、よしよし、しっかり甘えてよ。甘えるのも今のうちだけだからね。これからどんどん大きくなっていくんだから」「大きくなっても仲良くしてよ」「もちろん私はそう思っているわよ」「良かった、いつもまでも一緒だね」「いつまでも一緒にいたいんだけど」「いたいんだけど何?」「うん・・・そうわいかないかもしれないのよ」「なぜ!」「だって君はトラでしょ」「そうだよ」「トラは肉食獣なのよ」「だから何?」「分かるでしょ、将来ね・・・君が私を食べちゃうかもしれないということ」「ええ、そんなバカな、そんなことないよ」「あるよ」

「可愛いネコちゃんだね」「まだ子供だからね」「君はいくつなの」「生まれたばかりさ。アンタも子供なの?」「そうだよ、まだ3歳さ」「じゃ。子供同士なんだね」「そうだよ。ところで君のお母さんは」「分からない、どこに行ったのか。迷子になってしまったからね」「お腹空いてるでしょ」「うん、ぺこぺこ」「どうする、このままお母さんを探しに行く」「もう昨日から探しているよ」「だけど見るからないの」「うん、もうダメかもしれない」「お母さんも探しているかもよ」「そうだといいけど、もう疲れた」「そうか、じゃ、うちに来る」「うん」

「分かった、いい曲だろう。昔懐かしい曲なんだよ」「ふ~ん、なんか本当に古臭い曲だね」「古臭いなんて言うなよ。人の心に染み入れ曲と言ってほしいな」「そうなの」「じゃ笛じゃなく歌ってあげるよ」「歌もあるの」「あるよ、聴いてて」「うん」「村の鎮守の 神様の今日はめでたい 御祭日 ドンドンヒャララ ドンヒャララドンドンヒャララ ドンヒャララ朝から聞こえる 笛太鼓。どうだ、いい歌でしょ」「ふん、やっぱり古臭いや」「もういい、お前には歌ってあげないよ」「あっそう、けっこうですよ、じゃさよなら」「はいはいさよなら」

「せいれ~~つ。こら、あくびなんかしてる場合か」