愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

「ムーンライト・セレナーデ」 阿部正弘の時代

今の時代、50歳で総理大臣になればかなり若手だと言われるだろう。併し、江戸の昔は違った。数えで15歳になれば成人扱いだ。頼りにならない将軍家定を補佐して四年の間、老中阿部正弘は心身を酷使した。ペリーの二度の来航の時の対応、ハリスの下田総領事館の開設、日米和親条約の締結をはじめ各国との同条約の調印も、すべて正弘が決断したものだった。日本の開国という歴史上の大転換は、まさに阿部正弘の時代に決定されたものだ。内政面では、二度の安政の大地震、京都大火で皇居焼失。それら復興に忙しいなかに、国防の手当てを諸藩に命じて江戸湾防衛隊動員や台場作り、幕府の重しとしての任務に疲れ果てたのか、三十九歳の若さで安政四年に病死してしまった。今なら過労死というところだろう。十四代将軍家茂や慶喜はもっと若い。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。明治の志士たちは二十歳、三十代で歴史を動かしていた。それだけ老成していたのだろう。将来、三十代で総理大臣になる人が日本では出ないと思うが。おやすみなさい、また明日。