
私の頭の中は今どうなっているのか、近日中に脳波など精密検査があるらしい。
よくテレビなどで見るアレだ!
検査装置を付けて寝るというわけだ。
それもそのはず、最近、一晩に三種類ぐらいの夢を見る。
ドリームではないのだ、何か危なかしい夢で、今日も会社の事務所で寝ている夢を見ていた。
すると突然、体が揺れ出し、部屋全体が上下左右に震動したような状態に陥り、私は大きな声を張り上げ、その時分の声で目が覚めた。
朝、5時ぐらいのことだ。
何だ夢かと思い、トイレに立ってまた寝床に就いた。
するとどうだ、今度は普段思い出すことなど先ずありえない、昔見た夢の続きを再演しているではないか。
今度は夢の中ではっきり、これは夢だと自覚していた。
連日連夜、夢のオンパレードで、最近は寝ること自体が嫌になっている。
がしかし、今朝起きて朝食を食べたら、また炬燵の中で3時間ほど寝てしまった。
そんな時、思い出したのが昔から好きだった西條八十の詩、『夢』
 夜なかに
 ふと眼ざめると
 三つになる女の児が
 はげしく笑つてゐました、
 ねむりながら、さも楽しさうに
 声たてて笑つてゐました。
 母親は手をかけて
 その子を揺りさましました。
 「嬢や、夢ですよ、みんな夢ですよ、
 さ、起きてお母さんの顔をごらんなさい。」
 女の児はパツチリ眼をあいて
 うれしげに母親の面を見まもり、
 ふたたび安らかな眠りに入りました。
 自分の臥床に戻つてから
 母親はなぜか永く眠られませんでした、
 ふとも悲しいこころが
 その胸をとらへました。
 「ああ、誰かいま優しい声が
 わたしの耳もとちかく 夢ですよ、みんな夢ですよ、と
 囁くことはないであらうか、────
 さうして眼をひらくと
 あたりは輝かしい十六の若い朝で
 枕辺にあの昔懐かしい父と母が
 微笑んでゐることはないであらうか」────
 しづかに更けてゆく春の夜よ、
 母親の眼には、いつか
 幼児のやうな涙がわいてゐました。
西條さん、本当ですね、貴方の言うとおりです。