愛に恋

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ダメオのアニマル・ラブ Part.52

「あっマギー、マギー、こんなところに居たのか、直ぐ行く、すぐ行くからそこを動くなよ」

「ちょっと、いい加減にしてよ。私の頭は司令塔や展望台じゃないんだから」「いいじゃないかよ、細かいこと言うなよ。ここが丁度いいのさ。よその奴が来るか見張ってなくちゃならないんだから」「もう、いいか、お前さんとあんまり仲良くしてるとみんなに示しがつかねいんだよ」「ケチケチするなって、減るもんじゃないし」「もうまったくしょうがない奴だな」「ありがてえ、もうちょっと我慢してくれよ。仲間がそろそろ帰って来るからそれまでの辛抱だよ」「はいはい、分かりましたよ」「助かるよ」

「あれサリー、それがお前の子供かい」「そうだよ」「なんか変じゃないの」「何が?」「何がってさ、見れば分かるじゃないさ」「どこが?」「なに言ってんだよ、ぜんぜん色が違うじゃない」「違ったって、この子たちはみんな私のお腹から出て来た子供なんだから」「へえ、そんなことあるのかな」「ありますよ、この子たちが証明してるんだもの」「サリーの旦那はどんな色」「この子たちと同じ色だよ」「そういうわけか、それなら納得だけど、アンタも結構ちゃっかりしてるんだね」「何が」「何がってさ、いつの間に妊娠したのよ」「暇だからね」

「知ってるかい、人間社会ではね、いま同性どうしの結婚をめぐって争っているんだって。難しい話だけど憲法違反がどうだとかこうだとか」「憲法違反?」「うん、つまり雄でも雌でも好きになったら誰と結婚したっていいじゃないかという話なんだよ」「へ~え、難しい話だね。私たちはどうなの」「つまりあれだね、好きになったら哺乳類と魚類が一緒になってもいいということかな」「うん、まあそういう話だけど私たちはさ、そうは言っても一緒に住めないからね」「そこが大問題だね」「だからこうやって毎日会っておはようなキスをするしかないね」 

一頭のシカがコロラド州の店に入ってきて、店主がクッキーをいくつかあげたら、シカは店を出て30分後に家族全員でやって来ちゃったらしい。「おい、みんな遠慮なく入れよ、ここの旦那はとても優しい人だからな。どんどん入って旦那からクッキー貰おう。ねえ旦那、あれ私の家族なんですよ、みんなお腹空いてるのでさっきのクッキーをまた下さい」「ええ、家族連れて来たの」「そうなんですよ、お願いします」「困ったな、何頭いるの」「はい、妻と子供二頭です」「しょうがないな、じゃこれで最後にしてよ」「分かりました、ありがとうございます。

「遅いね」「うん、どこまで買いに行ったのかな」「ペットフードだから、いつもの隣町だと思うけどね」「待たせるね、お腹ぺこぺこだよ」「なんで余分に買っておかないのかな」「おそらくね、また知り合いに会って立ち話してると思うよ」「ええ、そしたら長くなるよ」「うん、きっと僕たちのことなんか忘れてるよ」「もう何べんも言ったのに。早く帰って来てねって」「世間話になったら大変だよ、1時間は話し込むから」「やってらんないねまったく」「自分だけさっさと食べてさ」「いい気なもんだ」「ああ、とにかく早く帰って来てヨ」「グ~ゥ」

「きり~つ、番号」「ワン」「ツー」「スリー」「フォー」「ファイブ」「シックス」「ニャン」「なんだニャンとは」

「雨が降ったってどうってこたぁねえやな。どのみちおいらは水の中が棲家さ。どしゃ降りだってへいっちゃらさ。雨よ降れふれだ。さあ、なにかエサでも探しに行くべ」

「なにやってんだよ」「朝からイチャイチャすんな」「もうまったく見てらんねぇよ」「おい、もういい加減にしろ」「いいじゃないかよ、久しぶりにメアリーに会ったんだから」「とにかく早くしろ、出かけるぞ」「待ってくれよ、もう少しだけ、抱擁は大切なんだぞ」「分かったわかった、とにかく時間だ」「おい、置いてくぞ」「いいからほっとけ。先に出かけようぜ」「そうだな、おい、先に行ってるからな」「待ってくれよ、いま行くから。じゃメアリー、帰りに寄るから」「分かったわ、気を付けてね。待ってるわ」「じゃ行って来るよ」「うん」

「どんな感じ」「う~ん、鼓動のリズムが違うね」「やっぱり」「よくあるの」「いや、毎日というわけじゃないけど、ちょっと走った後なんかにたまにあるんだよ」「いま部屋の中を少し走ったからかな」「そうだと思う」「困ったね、これはおそらく不整脈でと思うわ」「不整脈?」「うん、規則正しく心臓が動いてない場合は不整脈というんだよ」「どうしよう」「一度獣医師に診てもらうしかないね。ママに言って連れていってもらうしかないよ」「面倒なことになりそうだね」「仕方ないよ、これは命に拘わる病気だから」「分かった、ママに言ってきて」