愛に恋

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ダメオのアニマル・ラブ Part.49

「マーシャ、マーシャ、マーシャってば、僕は悪かった。開けて、開けて、開けてよ」「今更遅いわよ、もう何べん言わせるの、同じ過ちばかり。もう懲り懲りよ」「分かってる、もう二度としないから許してくれよ」「遅いわよ、今度こそ出て行ってよ」「そんなこと言わないで」「アナタとの1年半の付き合い、それなりに楽しかったけど、今度こそ終わりよ」「頼むよ、頼むから許してよ」「それにね、私、好きな子がいるのよ」「やっぱりか、あのサミーだろ」「サミーだろうがダミーだろうが、アナタの知ったこっちゃないわよ」「ちきしょうサミーの奴」

「遅いな」「いつものことだけど、今日は特に遅いね」「またどこかのおばさんと出会って長話をしてるんじゃないかな」「ありえるね」「もう、お腹がへったよ」「きっと、僕たちのことなんか忘れてるよ」「ほんとに女の長話には困ったもんだ」「普通なら30分もあれば帰ってこれるのに、もう1時間半だよ」「いい加減にしてよね」「帰ってきたら少し文句を言ってやろうよ」「そうだね、今日という今日は」

「あっ、危ないじゃないか、おい、やめろ」「ここは私の領分だ。登ってくるな」「ここまで来たんだ、そんなこと言うなよ」「だめだ、これ以上登ったらもっと崩すぞ」「頼むからそんなこと言わないでくれ」「だめだめ」「今更下りられないよ」「しょうがないな、じゃ早く登って来い。うかうかしてると落ちるぞ」「分かった、もうこれ以上、石を落とさないでくれよ」「大丈夫だ、早くしろ」「うん、いま行くから」

「あれ、もう住んでるの!」「スーモで見つけたんだよ」「嘘だよ、ここピタットハウスで紹介されて来たんだけどね」「それ、何かの間違いじゃないの」「違うよ、駅から数えて3番目の木のウロ(樹洞)だと教えられて来たんだから確かにここだよ」「おかしいな、大きな石の前にあるウロ(樹洞)と聞いて探したらここだったんだよ」「何か間違えてるんじゃないの」「間違いじゃないよ」「もう直ぐ卵を産むから出て行ってよ」「そんなの知らないよ」「出ていかないなら腕ずくでも追い出すわよ」「やって見ろよ、負けないからな」「ちきしょうめが」

「寒い、とにかく寒い。何なんだこの寒さは、僕みたいな家の中で飼われている犬はいいけど、野良猫なんかはどうしているのだろうか。お~さむ、フーフー、温かいミルクを飲んでもう少し寝ようかな。

おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松、みんな寝たか。おお、揃って寝てるな、そうどそうだ、同じ方に並んで寝たら体も引っ付いて暖かいだと。じゃ、おやすみ。

「ママ」「・・・」「ママったら」「何よ煩いわね、いま忙しいだから」「ねえ、寒いよ」「だから何よ」「ストーブ点いてないよ」「ちょっと待ちなさい」「早くして」「もう、煩いわねアンタたち」「だって本当に寒いんだもん」「ハイハイ、今点けますよ。ほら、これでいいでしょ」「うん、ありがとう。暖かくなってきた」「暖かいあったかい」

「なんか用ですか僕たちに」「いや別に。何してるのかなと思って」「ドアが開くのを待ってるんですよ」「待ってる?」「今日はいつもよりモーニングの時間が遅いからね、どうしたんだろうと思って」「ここの家のペットですか。そうだよ、お散歩から帰って来たんだけど、戸が閉まっているからさ」「へえ、ネコとイヌとシカの友達なんだ!」「そう、仲良しクラブさ」「いい組み合わせで羨ましい」「そうだろ」「うん、じゃ、またね」「バイバイ」

「早く乗りなさい、出かけるんだから」「待ってまって」「何してんの、早く」「まだみんな乗ってないよ」「もう・・・」

寿限無寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚、水行末、雲来末、風来末、食う寝る所に住む所、薮ら柑子のぶら柑子、パイポパイポパイポシューリンガン。神様、どうか我妻にも子宝が恵まれるようにお願いします。」