愛に恋

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ダメオのアニマル・ラブ Part.43

「そんなに見つめないでよ。アンタら見つめられるともう、メロメロ、ムラムラ、デレデレしゃうから」「どうして」「どうしてって、分からないの。君たちの目の色は魅惑的すぎるんだよ」「魅惑的って!」「そうだよ、お互いの目を見たら分かるよ。よく見て視なさいよ」「・・・、解らないけど」「どうしてよ、左右、目の色が違うでしょ。YELLOWとBLUEでしょ。そんな色の猫は滅多にいないのよ。ましてや二匹揃ってなんて、本当に珍しいんだから」「ということは何、褒めてるの」「褒めてるっていうか、ちょっと猫世界では悩殺っていう感じ」

「人間の世界では、春眠暁を覚えずというらしいけど、ネコの世界では秋眠暁を覚えずというのを人間どもは知らないんだよな。だからさっきからママが何べんも起こしにきて、煩いったらありゃしない」「sleep、いつまで寝てんの。朝ごはんは要らないの。ったくもう、名前のとおりスリープなんだから」「ちぇ、あたいはね I'm Only Sleepingなんだよまったく。静かにしやがれってんだ」「sleepったら」

「どうだい、キマり過ぎてるだろ、この辺りじゃちょっと見かけない浅草キッドというのは俺様のことだ。囲碁、いやいや、以後、宜しく頼んだぜ。ところで俺のスケを見なかったかい、どんなネコかって、決まってるじゃねえか、セクシーでモンローウォークで歩いているとびっきり美人のキャットさ。見りゃ一辺で分るさ。洗練されてるからな。俺は先に行ってるが、来たら「恋人も濡れる街角」で待ってると言ってくれ。じゃ、頼んだぜ」

「用意できました」「よし、これからエレベーターで地下120mまで下りるからな。大丈夫か」「はい、そんな深いところまで行ったことないですけど、なんとかいけると思います」「飲料水などは地下にあるからな。とりあえず3時間交代だ」「3時間ですか」「そうだ、頑張って掘れよ」「は、はい」「よし、出発」

「疲れた、本当に今日は疲れた」「それはいいけど、重たいよ」「そんなこと言わないでよ、ちょっと休ませてよ」「じゃ、下りてその辺で寝ればいいじゃないのさ」「いや、君の背中が一番休みやすいんだよ」「そりゃ君の都合だろうけど、このままじゃ重たくて動けないよ」「しばらくの間だからさ、頼むよ」「もう、少しだけだよ」「ありがとう」

昔、ウサギと亀、今はネコと亀。ネコにもバカにされる亀に成り下がったのが今の私です。「何やってんだお前」「ほっといて」「もっと早く歩けんのか」「歩けないよ」「そんなんじゃ目的地まで何時間もかかってしまうぞ」「それが亀というものさ」「よかった、亀に産まれなくて」「こっちもよかったよ、ネコに産まれなくて」「何でだよ」「昔から言うじゃないか、泥棒ネコって」「なんだと」「泥棒亀なんて聞かないだろ」「このやろう」「喧嘩したって無駄さ。手足を引っ込めれば何も出来ないんだぞ」「ちぇ、好きにするさ」「さあ、行った行った」

「よいしょ、重たい」「いや、もっと抱っこ」「重たいって」「嫌だいやだ、歩きたくない」「何言ってるの、お散歩に来たんでしょ」「だって今日は暑いもん」「犬は歩くものでしょうが」「歩きたくない時だってあるよ」「ねえねえ、私はまだ子供なんだから重たいのよ」「僕も子供だよ」「そんなの関係ないじゃないの」「こんなところに下ろさないでよ」「ちょっと休憩」「このアスファルト熱いから」「贅沢言わないの、ちょっと休憩させてよ」「もう~、少しだよ」「飲みのも持ってくるの忘れちゃった」「じゃもう帰ろうよ」「今来たところじゃない」

「ちゃんと、学んできたんだろうね」「ばっちりだよ」「あとは試してガッテンだからね」「何がガッテンだ、しっかり頼むよ」「はいはい、へへ、こんなのシャッター押すをだけなんだから」「なんだって」「いや何でもない、じゃいくぞ」「並んで並んで、もっと寄って」「こんな感じでいいか」「よし、いくよ。はいチーズ」パシャ。「みんなで写すのは初めてだな」「いい記念になるぞ」

これ美術品でも工芸品でもなく、本当の昆虫らしい。カッコウワスプ、別名エメラルドワスプ。私なら「ニジイロ・ザ・ハッチ」と命名するな。

「これが僕か・・・。まずまずの顔だな。これでヨッちゃんにフラれるなんて信じられない」