愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 茅野和助の手紙「今生の暇乞い」

赤穂浪士四十七士の多くは、討ち入り直前、それぞれ残していく者たちに手紙を送っている。その中で茅野和助の手紙の一節を現代語訳で載せたい。「この場を逃れたのでは、一家の面目にもかかわり、ことに武士として生きるので、弟武次郎やせがれの猪之吉などにもよくないし、とにかく武士の道にはずれることになります。人間は、短い一生の間一度は必ず死ぬ運命ですので、私の場合は少し早く死ぬということだけです。返す返す一度は母上様に楽をさせるようにし、武次郎を取り立てて一人前の武士としたいと思っておりましたが、それだけが心残りです。それは前世の定めと考えて、母上様がお嘆きにならないよう、頼みます。言うまでもないことですが、母上様にはへはよくよく孝行なさって、兄弟仲良くしてください。この手紙が今生の暇乞いでございます」現代人には忘れられた感情かもしれないが、しかしこれはかつてよく見られた日本人らしさの典型だった。「今生の暇乞い」本当に哀しい言葉ですね、涙を誘います。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。おやすみなさい、また明日。