愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 憂き我を、さみしがらせよ、閑古鳥

芭蕉の句に「憂き我を、さみしがらせよ、閑古鳥」というのがあるが、人生のマイナスを上塗りして感じたい気持ちだって抑え込まなければ人生の喜びの一つなのだと思う。「生きている中、わたくしの身に懐かしかったものは寂しさであった。寂しさの在ったばかりにわたくしの生涯には薄いながらも色彩があった」と永井荷風は『雪の中』で言っている。芭蕉にしと荷風にしろ、その思い描いた心情をよくよく考えないと分からない譬えだね。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。おやすみなさい、また明日。