愛に恋

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ダメオのアニマル・ラブ Part.33 

「おい、なんか座り方がおかしんじゃないのか」「どこが」「どこがって、足が4本揃ってるぞ」「別におかしくないよ」「そうかな、何か変だけど」「ぜんぜん問題ないよ」「ええ、そんな座り方、普通見ないけどな」「これで普通だよ」「普通ね・・・」「それに少し太ったんじゃないのか」「うん、それは確かだ。エサがいいからね」「おい、おどてるなよ」「えへへ」

「何キロ出していたか知ってるか」「95キロぐらいですか」「102キロだ」「えっ、そんなに」「この道は制限速度が60キロだと知らないのか」「いえ、つい夢中になって」「何に夢中になってたんだ。メスを追いかけていたのか」「違うんですよ、トムソンガゼルを追いかけていたらつい」「腹が減っているのか」「はい、ここ4日間何も食べてないので」「4日間も食べてなくて、よくそんなに早く走れるな」「もう必死なんですよ」「そうか、今回はイエローカードだけど次はレッドカードだからな」「すいません、気を付けます」「よし行け」「はい」

「も~う、ぜんぜん上手く出来ないよ」「焦るなあせるな。もっと落ち着いてゆっくり」「だって何べんやっても上手く文字が書けないないんだよ」「誰だって初めはそうさ」「ダメ、もうイライラする」「じゃあ止めるのか」「う~ん、もう一度基礎からやってみようか」「とにかくさ、先ずは猫の写真が出るまで頑張れよ。それが見たいんだろ、一度覚えたら簡単だから」「ミーシャの顔が見たいんだよ」「だろ、簡単だって頑張れ」「分かった、やってみるよ。え~と、先ずはここにnekoと打つ、それで何だったかな」「そうそう、その調子」

「思えば遠くに来たもんだな」「そうだね、こんなところまで来てしまった」「いよいよ、お前と私の二人っきりだ」「うん、もう誰もいないなくなってしまった」「これでいいんだ」「ホント、これからは僕たちだけで生活していこうね」「併し、厳しいぞ、先ずねぐらを探して、どこかで食べ物を確保しないとな」「うん、どっちへ行く」「少し下に降りて偵察しよう。大型の肉食獣がいないかも調べないとな」「その時はできるだけ闘うよ」「頼んだぞ。お前だけが頼りだ」「任せといて」「よし、そうと決まったら行こう」「出発だ」「天気はいいな」

「しかし、我ながらこれはいい巣を見つけたもんだな」「ピィピィ」「どうだい、中は暖かいかい」「うん、とっても暖かい」「そうかそうか。やっぱりな、下の方に藁を積めるだけで出来上がりの巣なんて始めてだよ」「さあ、お食べ。お母ちゃんはうんとエサを運んでくるからね。じきにお父ちゃんも来るだろうから待っているんだよ」「うん」「食べたかい。じゃ、お母ちゃんはまたエサを取に行ってくるから、大人しくまっているんだよ。もし、変な奴が来たら下の方に隠れていればいいからね。じゃあ、行って来るよ」「おとなしく待ってる」「そうだよ」

「ちょっと待って、僕の、僕のおやつはどうなったの~~~」「今日はなしだ」「え~、どうしてないの」「お前は昨日焼魚を盗んだだろう」「違うよ、あれは隣の与太郎の仕業だよ」「いや、お前だ」「違うって、本当に違うって」「違わない、お前だ」「僕、見たんだよ。あいつが盗るのを」「いや、与太郎はお前が盗ったのを見たと言っているんだ。往生際が悪いぞ」「あの野郎、あいつは嘘つきなんだよ。日頃からあっちこっちで悪さばかりしてるんだから」「とにかくだ、今日はなしだ」「くっそー、今から行ってあいつを連れて来る」「ああそうしろ」

「えっ、出て行った!」「うん、夕べのうちに出て行ったよ」「何で」「ふん、俺が悪かった」「どういうこと」「三―子は気づかないか」「うん、あんまり実感がないしよく分からない」「コンタは日頃からうちのエサが気に入らなかったんだよ。隣に飼われているアミコを知っているだろ。最近よく一緒に遊んでいたのを見なかったか」「うん、隣のうちに上がり込んでいたのは知ってる」「そうだよ、あのうちではいつも缶詰の高そうなエサを与えているんだよ。それに釣られたのさ」「エサに!」「何ならお前も行くか?」「私は絶対行かないここがいい」

Good morning dear friendsですね。「ちょっと、疲れたんだよ。少し羽休めしたいからさ、ねえ、頼むよ」「なんでよりによって俺の上なんだ」「いいじゃないか、渡りに船とうはこのことだよ」「まあいいけどさ」「そうだろ、君たちは鳥まで食べないだろ」「あたりまえだよ、そんな痩せっぽっちの体なんか食べたって腹は膨れないよ」「だからさ、上に乗っても重くないだろ。そんなに文句いうなよ」「ちぇ、向こう岸まで行くのか」「そうだな、とにかく安全なところまで運んでくれればいいよ」「はい、着いたぞ」「ありがと」

「どこ」「あの林の奥に見えるだろ」「ええ、見えないよ」「見えるじゃないか、よく見て視ろよ。林の中に5頭ぐらいいるだろ」「分からないな」「じっとこちちらを見てるよ」「全員大人のライオン?」「いや、3頭は子供だよ」「というと家族だね」「そうだね、なんで群れでいないのかな」「はぐれ家族かな」「危ないよ、群れないと」「うん、でも僕の家族ではないね」「そうだな、お前の家族はどこ行ったんだ」「もうこの辺りのはいないと思うよ」「そうか、よし、写真撮ったら移動しようか」「そうだね、どっち行く」「今度は南に行ってみよう」

「ママ、お腹空いた」「うん、空いたね。もう少し待ってね」「何処行くの」「うん、思い当たる場所があるからね、お前が生まれる前によく通ったところがあるんだよ。そこに行けば何かあると思うから」「良かった、いこいこ」「ただね、隣の町を抜けて行かなければならないから、ちょっとね」「ちょっと何」「他の奴らの縄張りを通るからね、用心が必要なんだよ」「襲われるの」「あるいはそうなるかも知れないから離れるんじゃないよ」「うん絶対に離れない」「油断しないでよ、ひょっとしたら逃げることもあるからね」「その時は一生懸命走るから」