愛に恋

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実録 相沢事件  二・二六への導火線 鬼頭春樹

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かなり難しい本だった。

血盟団事件、三月事件、十月事件、相沢事件、二・二六事件

北一輝西田税と確かに相沢中佐と関係が無いわけではが、事件の性質上やむを得ないとはいえ、根深く本質を捉えようとしているので、どうしても相沢に関わった人たちが書き残した文献が山ほど出て来て、それをまた掲載しているので、読み手を苦しくしている。

死刑間際になって相沢は、犯した罪を後悔し涙しているが、それにしても永田軍務局長惨殺という、陸軍始まって以来の不祥事はあまりにも大きな事件だった。

永田少将が生きていれば、東条英機ではなく永田首相だったはずだと思うと、後の太平洋戦争はどうなっていたのかと考えざるを得ない。

全ては真崎教育総監更迭という一事に繋がる問題で、事件後、林銑十郎陸相などはどう思ったことか。

青年将校ら、北一輝西田税とみな処刑され、殺した方も、殺された方も国家を思う気持ちは同じだったはずなのに。

終りに、永田軍務局長を斬った江戸寛文年間の刀匠、河内守藤原國次の銘が入った刀は現在どこにあるのか。