昭和28年5月28日、堀辰雄死去。
「君にあつたほどの人はみな君を好み、君をいい人だといつた。そんないい人がさきに死ななければならない、どうか、君は君の好きなところに行つて下さい、堀辰雄よ、さよなら」
弔辞 室生犀星
あれは、大正15年だったか、芥川、朔太郎、犀星、堀が軽井沢で待ち合わせ、ドライブなどしながら避暑を楽しんだことがあったが、確か記憶では犀星はドライブには行かなかったのでは。
されど芥川、朔太郎、白秋、晶子、藤村、そして堀辰雄も旅立った今、犀星の胸を去来したのは何であったか!
残されし者の胸は、常に寂し。