正妻の津島美智子、『斜陽』のモデル大田静子、心中相手の山崎富栄。
私は太宰が書いた作品よりは、彼を取り巻く人たちが残した関連作品を読むのが好きで、友人知人の著作は資料として貴重な証言で頗る好奇心を満たす。
また、津島美智子と大田静子の娘さんは共に作家になられたが、二人の関係はどうなっていたのか、そのへんよく分からない。
しかし幸運なことに先の3人が書いたものは何れも過去上梓されている。
『回想の太宰治』 津島美智子。
『斜陽日記』 大田静子。
『太宰治との愛と死のノート』 山崎富栄。
代表作の『斜陽』は大田静子の手紙や日記が元になって書かれた小説だが、昭和5年、鎌倉で心中事件を起した体験を小説にした『虚構の彷徨』は罪悪感を告白という方法で小説にしたもので、この本に共感した大田静子が自分の辛い体験をノートに綴り太宰に送ったのがそもそもの馴れ初めだとか。