愛に恋

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泳ぎたくない川 愛川欽也

 
日本人にとって愛川欽也という人は最も親しまれた司会者だったと言っても過言ではない。
11PM』『なるほど!ザ・ワールド』『アド街ック天国』など長寿番組の顔として知られると共に俳優としても大いに活躍した人生だった。
 
芸能界には『9年会』なるものが存在するが、この本はおそらく昭和30年あたりまでの半自伝的性質のもので、生い立ちから戦時中の苦労話しなどが書かれているが、あまり両親の事に関しては詳しく語っていない。
父親は既婚者で生涯、実母とは婚姻しなかったようで、兄弟もなく思春期にはバンドマン、俳優の卵、またはストリップ小屋など転職を繰り返し戦後の混乱期は母と別に歩み、不良にこそならなかったが、あの時代特有の空気の中で育った一青年を表現したかったのだろうが、失礼ながら文章力はやや乏しいと言わざるを得ない。
 
各章を設けて書いたほうが今少し纏まりがあったように思うのだが。
具体的には、やや突っ込みが足りなかった点、勿体無い。
特に母親がどうなったかは語られず仕舞いだ。
しかし歴史上の人物と違って同時代を生きた人の思い出とあって、あの愛川欽也さんにも、こんな青春があったのかと思えば感慨もひとしお。
栄養不良で痩せていた愛川欽也を想像できないが、そんな時代を生きて来た一面を書き残したかったのか。
 
愛川欽也死去、少しでも供養になればという思いから読んでみた。
 

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