愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

第二の性

以前にも少し書いたが、私がまだ18歳の頃に同棲していた5つ年上の女性と、ある日、喫茶店で待ち合わせしていた時の話。その喫茶店は以前、キャバレーだったのか大きなホールがあり、いくぶん遅れて行った私が見た彼女は、咥え煙草で何やら文庫本を読んでいた。座るなり唐突に「第二の性を読んでるの、将来のために」と、さも自然に言うのだが、少年の私には「第二の性」もボーヴォワールもからっきし分からない。そもそも彼女とは頭の出来が違い、相手は立命館大学卒業だが、こちらは煙草も珈琲も飲めないお子ちゃま。私の熱愛で同棲まで至ったのだが、学歴の差は歴然。今日、行きつけの古書店のレジ裏にあったこの本を以前から知ってはいたが、売りに出す時はおそらく5冊で千円だろうと場を踏んでいたのだが、なんとワゴンセールで1冊100円とな、これは買うしかないと手に取ると、これまたなんと難しそうな本で、字の小ささには驚いた。更には昭和27年の訳とある。あまりにも古く難問課題、昔の人はこんな本を苦も無く読んでいたのか。23歳で読んでいた彼女に比べ、中高年になってからしか読めない私にも呆れた。