『ゴヤ』を少し中休みして海外ミステリーを一冊挿入することにした。
妻と一緒にショーを見に行くはずだったある男、直前になって喧嘩、口論、発奮、家を飛び出し、始めてのバーに入る。
見知らぬ女を見つけ、出来れば一緒にショーを見に行くつもりと決めて。
券は二枚ある。
見渡すとカウンターの隅に1人の女が静かに飲んでいる。
おもむろに横に座り、声をかけ、その女を誘ってレストランで食事、カジノ座へ行き、ショーを見る。
そして再びバーに戻り、もう少しゆっくりしていきたいという女を残し帰路につく。
女とは初めから名前、電話番号、住所などは訊かない約束なので、互いの身分は知らないまま、一夜限りの軽いアバンチュール。
家に帰ってみると部屋には二人の刑事居て妻はベッドの上で殺害されていた。
真っ先に疑われ犯人扱い。
いや、私にはアリバイがある。あの女が知っている。
子供の頃に見ていた『逃亡者』を思い出した。
帰宅した時に、自宅の前から飛び出して来た片腕の男、奴が犯人だ。妻を殺したのは私じゃない、奴だ、殺したのは片腕の男なんだ。
久しぶりに外国ミステリーを読んだ。
サスペンスの詩人、不滅の名作とあるが、そうかな・・・!
それほどとは思わなかったが。
少し出来過ぎている。
面白味を増そうという手法が随所にみられる。
粘土細工の上塗りのような構成が逆に粗が見えてしまうような気がしたが。