五郎君、最近、笑顔のない君の歌を聴いていると妙に心が痛くなるよ。
いつのまにか君も63歳、アイドルというにはあまりにも年を取り過ぎた。
然し、この曲も今聴いてみると妙に物悲しいね。
却って笑顔がない方がいいかも知れない。
幾年月、年輪を重ね、歌い手も聴き手も思い通りにならない男女の仲が分かってきたということだろうか。
この世の中、為るようにしかならない、男と女も明日はどうなるか分からない。
「盥(たらい)から盥へうつる ちんぷんかんぷん」
生まれて産湯の盥、そして死んでは湯灌(ゆかん)の盥。
この間の一生とは何のことやらちんぷんかんぷん、と小林一茶は辞世の句で言っているが、ほんと、人生なんてそんなものかも知れない。
だが、そう言われてしまうと、あまりに儚い浮世の定め。
帰りなんいざ、と言っても帰る所とてなし、何やら寂しい毎日。
父上、どう思いますか。