愛に恋

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ハリス 日本滞在記 上

 
実に重々しい本だ!
何しろ註釈が凡そ半分はあるかと思うほどで尚且つ文字が小さく旧漢字で書かれている。
古書店で見つけ先客が手に取ってペラペラ捲っていたのを目撃。
なかなかお目に掛かれない代物だけに相手が買わなければ即買いと思っていたが運よく我が手に。
しかし、上・中・下巻で3,000円は高いような。
だが、買ったはいいが、この手の本を読むには少々気合がいるためワインの如く暫く書棚に寝かせておいた。
 
で、やっと重い腰を上げたのだが、何と、意に反して全く日本国が出て来ない。
『日本滞在記』とはあるもののハリスは本来外交官ではなく商人としてかなり広範囲に世界を飛び回り、1855年、フランクリン・ピアーズ大統領から初代駐日領事に任命され来日するわけだが、その前にシャム、つまり現在のタイ王国との通商条約締結を命じられ、上巻ではシャム王国高官との折衝を約300頁も読まされるから敵わない。
 
相対的にハリスのシャム人に対する印象が酷く悪い。
もう二度とこの国には来たくないと言っている。
更に結婚制度、奴隷制度について述べた後、
 
「男色は、ひじょうに晋く行われ、獣姦もまた同様である。いずれに対しても、処罰はきびしくなく、必罰は僧侶の場合だけである。姦通も極めて普通のこととなっているが、殆ど処罰されないでいる」
 
また、
 
「嘘をつくことは、この国では、国王から下々にいたるまでの通例となっている」
 
ハリスは生涯、妻を娶らず独身で謹厳な性格にして童貞だったので、これらの風俗を忌み嫌っていたのだろう。
ハリスがシャムを離れ船上の人となり日本へ向かうのは1856年5月31日。
因みに本書の第一刷発行は昭和28年11月5日とあるが、この当時でもまだ書体は旧漢字だったのだろうか?
 
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