愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

ロング・グッドバイ レイモンド・チャンドラー 村上 春樹 (翻訳)

え~まあ、なんと申しましょうか、とにかく長い。こんなに長くする必要があるのかというほど長い。村上春樹は訳するにあたって細部まで端折ることなく訳したようなことを言ってるが、どうなんだろう、アメリカ映画の刑事ドラマなんかでよく見かける場面が必ず出て来る。容疑者と思う相手に向かい合う時に何かしらジョークを刑事は飛ばす。するとこちらも気の利いたセリフでやり返す。どちらも余裕のあるところを見せあう。暫くすると刑事はいきなり暴力を振るう。日本の「警察24時間」なんかではまず見られない光景でありえない。比喩のための比喩、なくもがなの能書き、あきれるほどの詳細な描写、無用な長広舌、独特の屈折した言い回しなどを村上は好むそうだが、どちらかというと映画で観た方がそのような場面は面白そうだ。終盤に差し掛かって事件の真相は単純ではなくなり、なんだかけむに巻かれたようになって理解が出来なくなった。村上春樹はなんども本作を読んだようだが私の再読はない。